日韓戦で露呈した森保Jの“中途半端さ” 二兎を追う姿勢は奏功せず…選手起用に疑問符も
【大会総括】E-1選手権の最終戦で韓国に完敗 劣勢を挽回するための方向性は見えず
森保一監督率いる日本代表は18日、韓国・釜山で開催されたE-1選手権の最終戦で韓国代表と対戦し、0-1で敗れた。引き分け以上で2013年大会以来2回目の優勝が決まる状況だったが、韓国のプレッシャーに対処し切れず、ライバルに3連覇を許している。
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これまでの2試合(中国戦/2-1、香港戦/5-0)と比べて、韓国が圧倒的に実力のある相手であることは試合前から分かっていたこと。そして、森保監督が「我々が引き分けでも優勝を決められるという条件のなか、韓国の圧力のある激しさや厳しさは予想できた」と語ったように、韓国の出方はチーム内でも想定されていた。
だが実際にピッチ上で起こった現象に目を向ければ、序盤から韓国の勢いに押されたまま失点を喫し、最後まで完全にリズムを掌握することができていない。劣勢から挽回するため、選手個々、あるいはユニットでの努力は見えた。鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)や井手口陽介(ガンバ大阪)は高い位置からのプレッシャーで対抗しようとするシーンがあり、ディフェンスラインではボールを動かして少しでも優位な状況で前にボールを付けようともしていた。
しかし、チームとしての統一感は不足しており、攻守ともに間延びした状況が発生。前からのプレッシャーは中盤に穴を空けて縦パスを通され、ビルドアップでは前線との距離感が遠くなってパスが通らない。同じ“急造チーム”でも、この試合に勝つための明確な指針を共有していた韓国との差は明らかだった。
中国戦と香港戦では、大半の時間帯で日本がゲームを掌握し、プラン通りに試合を進めることができた。だが、サッカーは常に相手があるもの。実力の拮抗する韓国戦で当初のプランが機能しなくなった時、打開するためにチームとして何に注力するのか。その方向性が見える戦いぶりだったとは言いがたい。
今季のJリーグMVPである今大会の“10番”仲川輝人(横浜F・マリノス)の起用法に関しても、不可解な点が残った。プロ入り前も含めて4バックでの戦いに慣れ親しんだ選手であり、今季は4-3-3の右ウイングとして文句なしの結果(15得点)を残している。開幕前、森保監督は「3バックも4バックもできる用意をしている」とコメントしており、仲川や田川亨介(FC東京)のような選手を活かすための策として、4バックのオプションが存在すると思われたが、最後までその機会は訪れなかった。
仲川は第2戦の香港戦でフル出場し、シャドーの一角として攻撃の潤滑油として役割は果たした。一方で、彼にしかできないような仕掛け、フィニッシュの局面での迫力はほとんど出せていない。韓国戦でも最後のカードとして切られたものの、シャドーに当てはめたことで、国内で“最優秀”の称号を得た個性は埋没。選手の最大値を引き出すという点で、疑問符の付く起用だった。