「いつか必ず日本一のストライカーになる」

　共に4人連続で成功を収めて迎えた桐光の5人目は主将の小川。この日2本目となるPKだったが、ゴール左へ蹴ったシュートを青森山田GK廣末陸に防がれてしまった。その後、青森山田は5人目まで全員が成功。勝利をつかみかけていた桐光学園、そして小川にとってはあまりにも非情な結末となった。

　ピッチ上で涙に暮れた小川は、試合後に報道陣の前に姿を見せたが、その言葉に力はなく、一言ずつ「悔しいです」「（2得点も）勝てなければ意味ないです」と無念の思いを吐き出した。

「いつかJ1で得点王を取って、海外でプレーしたい。必ず日本一のストライカーになります」と、大きな目標を掲げる小川は、「選手権（全国大会）は憧れだった。人生で一番楽しかった」という言葉を残して会場を後にした。全国の舞台で点取り屋としての嗅覚や技術を存分に見せつけ、2試合4ゴールを奪いながらも、選手権史に残る悲劇を導いてしまった2本のPK失敗――。未来のスター候補生は、この悔しさをさらなる成長の糧にすることを誓っていた。

【了】

石川　遼●文　text by Ryo Ishikawa