ベンゲル愛弟子対ミラン本田の育ての親 選手権16強で命運を分けた指揮官の采配とは

選手権の歴史に刻まれた新たなストーリー

 ゴール前に蹴り込まれた強いボールは混戦を生み、そこから星稜のDF岡田勇斗が押し込んで大きな先制点を挙げた。そして、それが決勝ゴールになり、明暗を分ける結果になった。

 待望の直接対決は、河崎監督の勝利となった。それでも、この全国の舞台で顔を合わせたからこそ、岡山監督の指導者としての成長も師匠は感じ取った。「今日のゲームに関して、内容は中京大中京の方が良かったです。最後の時間帯は圧倒されました。今後、伸びていくチームですし、彼が成長しているのも感じます。今日をバネに頑張ってほしいです」と、指導者としての後輩にエールを送った。

 一方の岡山監督は、「ありがたい言葉です。来年もこの舞台に戻ってきて、今度はリベンジをしたいですね」と語った。

 94回の歴史を数える選手権に、また新たなストーリーが紡がれた。元Jリーガーが高校サッカー界の名将を目指すという大きな挑戦は、まだ始まったばかりだ。

【了】

 

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

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