鎌田大地と“二つの顔” ブンデスで不運続くも…ELで放つ特大の輝き「今は凄くいい」
ギマラエス戦のゴールを指揮官も絶賛 「トレーニングした狙い通り」
今週のトレーニングでヒュッター監督は、FW2人の動きを逐次修正しながら、攻撃の起点を作り、中央からの崩しをより引き出せるようにと取り組んでいる。すぐに結果が出るかは分からないが、狙いが明確になってきたらフランクフルトの攻撃によりバリエーションが生まれてくるはずだ。そして、それが機能するためには鎌田の存在が重要になる。
ヘルタ戦でも中盤でボールを引き出し、多くの好機に絡んでいた。VAR判定でノーゴールとなった直後のプレーでは、中盤センターで相手からボールを奪い取ると、左サイドのコスティッチにきれいなスルーパスでチャンスメーク。前半44分、中盤から鋭い動きで2人を振り切ってドリブルで持ち運ぶ。最後はファウルぎりぎりのプレーで潰されたが、パシエンシアとのワンツーで抜け出せていたらビッグチャンスになっていた。
後半34分には左サイドからのドリブルで強引に左足シュートへ持ち込むなど、積極的にゴールを狙い続けている。フランクフルトはハードなスケジュールで試合をこなしているが、鎌田自身のコンディションは良好だ。
「今はプレー内容もいいし、一時に比べると疲れというか、乳酸も溜まりづらくなって。コンディション的に、凄くいいのかなと思います」
そして12日に行われたELグループステージ最終節のギマラエス戦(2-3)で、鎌田は一時逆転となるゴールを挙げた。まさにヘルタ戦でのゴールと同じような形からの得点に、ヒュッター監督も「2点目は嬉しい。トレーニングした狙い通り。機能した」と大喜びし、鎌田自身も「上手く前が潰れてくれて。常にああいうゴールは狙っていますけど、今までやってきたからこそ今日取れて。続けていけたらいいかなと思います」と手応えを口にした。
今後も得点パターンとして期待できるようなきれいな形でのゴール。チームの中で、より明確な狙いとして定着していきそうな感じはある。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。