天皇杯でも露呈した勝負弱さ 浦和が“シルバーコレクター病”に苦しむ2つの理由

主体的で魅力的なサッカーを演じても…

 この交代の結果、前線には興梠、李忠成、ズラタンとゴール前で勝負したい選手が3人固まった。確かに名前だけを見ればゴールの予感が高まる3人だが、特にこのゲームはMF柏木陽介が負傷で欠場していただけに、浦和の持ち味である連動性を大きく損なう結果になった。興梠は「ズラタンが入って高さは多少出たけど、向こうもセンターバック2枚は高さがあってクロスに強さがある。それよりは、いつもどおりの崩しでやった方が良かったという気持ちもある。もっと自分たちが、いつもやっているサッカーをやりたかった」と、交代がそれほど効果的でなかったことを実感として語った。

 もちろん、交代策は結果論になってしまうが“ごり押し”の采配であったことは否めない。そしてこのMF梅崎司を下げた交代の結果、セットプレーのキッカーがいなくなったのも問題だった。中央に高さのあるズラタンを投入しながら、同24分にMF高木俊幸を投入するまで、普段は全くキッカーを務めていないMF宇賀神がセットプレーを蹴るチグハグさが生まれる結果になった。

 近年の通算勝ち点や平均順位など、トータル的に見れば浦和が素晴らしい成績を残しているのは間違いない。主体的であり、魅力的なサッカーも展開している。それは、ハッキリと称賛されてしかるべきだろう。だが同時に、その勲章となるはずのタイトルが手に入っていないことも重く受け止めるべきことだ。

 GK西川周作は「悔しい思いもしたけど、ファーストステージに素晴らしい戦いができて、2ステージ制というものを理解できた。これからどうしていけば良いかを理解できた1年。2016年は歴史を変える1年にしたい」と前を向いた。しかし、この“シルバーコレクター病”に歯止めをかけるために、乗り越えなければいけない壁は決して低くない。果たして来季、浦和イレブンは熱狂的なサポーターの声援を背に、歓喜と共にトロフィーを掲げる瞬間を勝ち取ることができるだろうか。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

 

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