天皇杯でも露呈した勝負弱さ 浦和が“シルバーコレクター病”に苦しむ2つの理由

指揮官の焦りがにじみ出た交代策

 もう1点は、大一番で普段どおりではないプレーや采配が生まれてしまうことだ。

 この天皇杯決勝の2失点目は、CKから生まれた。その前の時間帯は全体的に浦和ペースで、やや偶発的にG大阪が左サイドから上げたクロスがファーサイドへ流れた。カバーに入ったMF宇賀神友弥はフリーの状況だったが、CKに逃げるクリアをした。そして、結果的にそのセットプレーが失点になった。宇賀神は、そのプレーをこう振り返る。

「あの場面は、余裕があったのでGKに戻そうかと思ったが、西川からクリアという声がかかった。意図が合ってなくて失点につながるよりは、セーフティーにと思った。練習でもああいう時につなごうと話してやっていたので、そのコーナーからやられたのは残念。クレバーなプレーも必要だった。こういうビッグゲームでも、そういうプレーができるくらい余裕を持ちたい」

 おそらく、普段のリーグ戦であればGK西川へのバックパスを選択し、浦和ボールに切り替わっただろう。もちろん多少のリスクはあるが、そういったチャレンジを積み重ねることが浦和の躍動感につながる面は間違いなくある。GKからの声がかかった以上、宇賀神の選択を責めることはできない。しかし、大一番であることを強く意識してしまうのか、プレー選択が心理的な部分で守備的になってしまう場面が増えてしまい、その結果、チームからは躍動感が見えづらくなってしまう。

 この2失点目は後半8分に喫したものだった。アディショナルタイムを含めれば残り時間は40分ほどあり、それほど焦るような時間帯ではない。しかし、同12分にペトロヴィッチ監督は早々に交代を決断。右サイドにMF関根貴大を投入したのは同じタイプの選手同士での交代だったが、後方からのボールに対するリンクマンになれるMF武藤雄樹に代えてFWズラタンを投入した采配には、指揮官の焦りがにじみ出ていた。

 

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