ガンバ宇佐美のラスト一冠に懸けた強い思い 去就にはノーコメント貫く
左サイドで存在感を発揮した前半
1年前の元日に2ゴールを決めて、史上2チーム目の三冠達成を成し遂げた時のような輝きは見せられなかった。それでもガンバ大阪の日本代表FW宇佐美貴史は、2年連続で立った天皇杯決勝の舞台で、浦和レッズを相手に別格の存在感を放っていた。
今季のJ1リーグでは自己最多の19ゴールをマークしながら、10月以降は沈黙。タイトルの懸かったチャンピオンシップ決勝、そしてナビスコカップ決勝でも、宇佐美はエースとして期待を背負いながら不発に終わっていた。チームがいずれも優勝を逃したこともあり、ラスト一冠となるこの天皇杯に懸ける思いは人一倍強く、年の瀬に入って見事に復活。準々決勝のサガン鳥栖戦、準決勝のサンフレッチェ広島戦と2試合連続で2ゴールを決めて、チームを元日決勝へと導いた。
迎えた浦和との決勝、前半4分にいきなり宇佐美が魅せる。左サイドでボールを受けると、ドリブルを仕掛けてペナルティエリア内に侵入。FWパトリックにラストパスを通して決定機を演出した。同24分にも左サイドでのキープから、DF藤春廣輝にパスを通してパトリックの決定的なシュートにつなげる。
もっとも、本人が試合後に「僕自身の出来は全然良くなかった」と振り返ったとおり、その後はなかなかチャンスに絡めなかった。見せ場をほとんど作れないまま、後半31分にMF内田達也と交代してピッチを後に。ゲーム終盤の浦和の猛攻を、必死のディフェンスで凌ぐチームメイトの姿を、ベンチから祈るようにして見つめた。
「前半はすごくいい形で裏で引き出せたり、チャンスも作れて。後半にギアを上げきれず、チームとして押し込まれる中でパト(パトリック)が1点を取ってくれた。やられる気はしなかったし、負ける気もしなかった。チームで上回れたと思います」