「僕にとって東京五輪は特別」 “サムライ”と呼ばれる21歳日系人の挑戦「この名前は…」
戦国武将の豊臣秀吉と同じ名前で愛称は“サムライ” 「この名前を気に入っています」
昨年のロシア・ワールドカップ(W杯)にペルー代表が36年ぶりに出場したことも、若手世代にとってはプラスになったと考えている。
「ペルーがW杯に出ることは、小さい時から願っていたこと。本当に嬉しかった。ペルーのサッカーのことを世界に知ってもらえたし、これで僕たちにとっても世界が開けた。これからはペルー人が海外に出ていくチャンスも増えると思う」
ペルー代表で憧れているのは、ブラジルのインテルナシオナルでプレーするFWパオロ・ゲレーロだ。
「彼はいつも結果を出しているし、チームを統率するピッチ上の姿は素晴らしいと思う」と、母国のスターに将来の自らの姿を重ね合わせる。ペルーでは、アメリカでプレーしている同じ21歳の選手がすでにA代表入りを果たしているといい、「自分ももっと成長してその中に加わりたい。日本人は真面目でよく働くと言われているけど、僕もピッチ上でよく働く選手になりたい」と、夢を膨らませる。
試合で対戦歴のある元柏レイソルのMF澤昌克も、「小さいけどフィジカルが強く、重心が低くて、シュートはパンチ力がある。スピード、テクニックもある。若くして成長を遂げている選手」と、そのポテンシャルを高く評価している。
地元ペルーでは日系人であることと、戦国時代の武将、豊臣秀吉と同じ名前であることから「サムライ」と紹介される。
「両親は最初、僕に違う名前をつけようとしていたそうなんです。でも、それは女の子に適した名前だから変えようってなって、それでヒデヨシになった。どんな漢字を書くのかは分からないけど、日本の有名な武将の名前だということは知っています。ペルーの人たちには発音が難しいと言われるけど、この名前を気に入っています」
東京五輪で活躍し、世界へと羽ばたく――。ペルー人の“サムライ・ヒデヨシ”は、サッカー界でいつか天下を取れる日を強く夢見ている。
(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)