浦和「無冠」の理由 ACL準優勝もJ1で記録的“低迷”…隠しきれなかった攻守の問題点
ACL中国勢の“外国人頼み”が、浦和のバランスの悪さを助けた
しかし、攻撃の終わり方が悪いうえに、例えば最終ラインのDF鈴木大輔の言葉を借りると「前が制限できていない時でも、中盤が出ていってしまう」ようなバランスの悪さで、裏返されてしまう。最終ラインが、相手のアタッカーがスピードに乗った状態で対応させられる場面が多くなった。この構図はラスト2試合の第33節FC東京戦(1-1)や第34節ガンバ大阪戦(2-3)でも、何度も繰り返された。
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もちろん、相手にボールを持たれるとブロックを作って守ることになるが、そこからは前述したマイボールの質の低さが顔を出す。最終ラインでようやくボールを奪っても、そこから前進させるところに共通理解や質が伴わないことで、相手の中盤までのラインを越えられずに、結果的に自陣で押し込まれる状態を脱しきれない。これは、特に横浜F・マリノスや川崎フロンターレ、ヴィッセル神戸といったボール保持が上手いチームとの対戦時によく見られた。
浦和は今季、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)では2年ぶり3回目の決勝進出という結果を残した。東アジア、特に中国勢に対しては国内リーグの3強(北京国安、上海上港、広州恒大)をすべて破った。しかし、彼らの持つ強力な外国人選手たちは、攻守の切り替えや浦和ボール時のプレスに熱心ではない。それが、浦和のビルドアップが機能しないところを助けた面は大きい。
そして浦和の3バックは、個の1対1で相手を抑え込む能力は非常に高い。中国勢が特に連動することもなく、前に預けて任せるタイプの攻撃だったことも守備面のバランスの悪さを隠した。
浦和にACL制覇へ懸ける強い思いがあったのは事実だが、低迷するリーグ戦との成績が噛み合わない理由には、ピッチ上の理由もきちんとあったと言える。それは前線の個の能力に加えて、組織力も兼ね備えたアル・ヒラル(サウジアラビア)との決勝では、手も足も出ない試合内容だったことからも明らかだろう。