南野拓実は高速アタックの“司令塔” ベルギーメディアも絶賛「秀でたフットボールをする」
【ベルギー発コラム】CLヘンク戦で1ゴール、巧みなチャンスメークも光り4-1快勝に貢献
日本代表MF南野拓実が、11月27日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)のヘンク戦で今季CL2得点目となるゴールを決めて、チームの4-1勝利に貢献した。1-0で迎えた前半45分、カウンターを仕掛けたザルツブルクは、ゴール正面でMFエノック・ムウェプがシュートを撃つと見せかけ、フリーの南野へ。すると、南野は右45度の位置から右足を振り抜き、ファーサイドに抑えの効いたシュートを決めた。
「その前に似たようなシーンがあって、その選手に『出せよ』と言っていた。次のタイミングで出してくれたので、それをしっかり決められて良かったと思っています」
前半20分、左サイドからゴール前に滑り込んでくる味方に合わせて入れたクロス。後半20分、右サイドからのクロスをファーで合わせたヘディングシュート。同38分、右ハーフスペースを抜け出しニアを狙ったシュートなど、南野はトップ下としてゴールに直結するようなプレーを再三披露した。また、後半24分にはFWエルリング・ブラウト・ホランドにスルーパスを出すことによって、チームにカウンターのスイッチを入れて、FWファン・ヒチャンのゴールにつなげた。
こうしたチャンスメーク&フィニッシャーとしての役割に加え、南野はシンプルなプレーを基調としながら、ザルツブルクの2トップと中盤をしっかりつなぐ役割を果たしていた。ザルツブルクのサッカーは、南野が「監督が代わるとディテールは少し違うが、アグレッシブにボールを奪いにいくとか、縦に速いサッカーというのは一緒」と言う通り、迫力あふれるハイスピードのカウンターが魅力のチームだが、一つ間違うと前後分断を起こしかねない。そこを南野がしっかりボールの落ち着きどころになり、さらにテンポを落とさずパスをはたけることから、ビルドアップからアタッキングサードへの鎖役になっている。こうした役割の質の高さと頻度の多さが、南野のプレーの安定感につながっている。
「今日もそれ(前線と中盤をつなぐ役)が、僕の一つの役割でした。相手のボランチとディフェンスラインの間で、ボールが出てこなくても、常にそこで準備しているのは相手にとって嫌なこと。そこでのプレーは僕の一つの長所でもある。今日もそこを上手く出せた部分があったと思う。そこは良かった」
中田 徹
なかた・とおる/1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグなどを現地取材、リポートしている。