香川がトップ下出場で躍動 ファンハール監督からは「やっと自分のポジションでできるね」

十二分な危機感

「攻撃のときの距離感だったりボールを受けるところだったり、またボールを受けたときのポジションすべてを意識してやった」

 自分の置かれた立場を理解しているのだろう。指揮官は、ポジションごとに偏りがある戦力バランスのいびつさから「このチームは破綻している」とまで公言している。香川も飽和状態のトップ下から、今季は不慣れなボランチへのコンバートを受け入れざるを得なかった。また、イングランドの地元紙は古巣ドルトムントへの復帰など、香川の移籍話を連日のように展開している。日本のプレーメーカーは、危機感を十二分に持って、この日のピッチに立ったのだ。

 試合は0-0に終わり、大会規定でPK戦に突入した。「冷静に蹴ることを考えた」という香川は4人目のキッカーとしてゴール右隅に決め、勝利に貢献した。試合直後のピッチ上では、親友のインテルDF長友佑都と談笑した。

「サッカーのこととか、深く話していません」

 日々電話で連絡を取り合う仲だけに、特段ピッチ上でも話題もなかったのだろうか。だが、久々のトップ下として、ピッチ上で喜びと自信をあふれさせるようなプレーだった香川の充実ぶりは対峙した長友にも、伝わったことだろう。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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