憧れの澤の優秀の美をアシストで飾った川澄 「サッカーの神様にお願いしたんです」
皇后杯優勝アシスト 「すごい、さすが以外にない」
憧れであり、夢をもらった存在を最高の形で送り出した。27日の皇后杯決勝アルビレックス新潟レディース戦で、現役最後の一戦となったMF澤穂希の決勝ゴールでINAC神戸が1-0と勝利した。0-0で迎えた後半33分に、コーナーキックのキッカーとしてアシストをしたのがMF川澄奈穂美だった。
右コーナーキックを蹴る川澄にはある予感があった。「これが最後のコーナーキックになるかも」。アルビレックス新潟レディースとの決戦は、全体にINACが劣勢になる時間が続いた。思うようにボールを保持できない時間が続いた中で、カウンター攻撃から得たセットプレーでのチャンスだった。
「澤さんは、いつもはニアサイドに走り込むことが多いんですが、中でも競り勝てるんじゃないかなという思いがありました。監督が試合前に『澤穂希は決めるから、ボールをいつもより集めるとかしなくてもいいんだ』と言っていましたけど、ああいう勝負どころで本当に決めてしまうのは、“すごい”と“さすが”以外の言葉はないですね」
川澄は助走から、カーブを掛けて巻き込むようなボールではなく、インステップに近い直線的なボールを選択した。新潟にとって、その直前の時間帯はかなり主導権を握っていたため、久しぶりの守備機会になったこともあるのかもしれない。瞬間的にマークを外して走り込んだ澤の元へ、スピードのあるボールが飛んだことで守備陣になすすべはなかった。誰よりも高く飛んだポニーテールの背番号8は、ピタリと頭でボールを捕らえてゴールにたたき込んだ。
「コーナーの前に、サッカーの神様にお願いしたんです。色々な苦しさを乗り越えてきた澤さんに、最後のゴールをとお願いしました」
川澄の願いを乗せたボールは、誰にも邪魔されることなくターゲットに届いた。
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