澤を身近で見守った夫が伝えた言葉 「澤が澤であるための瞬間があってもいい」

頑張りを知るからこその歓喜のガッツポーズ

 その瞬間、両拳を握り締め、同氏はその場で飛び上がって感情を発露させた。有言実行のミセス弾に辻上氏は感極まったという。

「自然と両手でガッツポーズしていました。うわー!という声は上げたと思います。その後は、ただただ驚きでした」

 そして、15歳で日本代表デビューを果たしてから、37歳まで粉骨砕身、女子サッカーのために奮闘してきた夫人に労いの言葉を残した。

「なかなかこういう選手はいないと思いますから。みなさん共通して“持っている”ということになるのでしょうけど、僕としては昨年末に引退を考えた中でもう一度奮起した頑張りと、努力を見守ってきた。最後に、2万を超えるサポーターの澤穂希の雄姿を見たいという思いにも何とか応えられて、この1年に懸ける思いを見せてくれたと思います。一番先にくるのは、去年の引退したいという思いがあったことを考えれば“お疲れ様”という言葉がきます。彼女のこだわりもあると思いますけど、あくまでもトップレベルの選手としてあり続けたい。そうでなかった時、彼女の言葉で言えば、『心と身体が一致しないとき』が彼女の判断で今であれば、それは僕にも止められないし、尊重しなければいけないと思います」

 華麗なラストダンスを見守った辻上氏は、最後まで万感の表情を浮かべ、夫人の頑張りをたたえていた。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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