「“ごまかし”はもう利かない」 惨敗の日本代表「ベネズエラ戦出場16人」を金田喜稔が採点
CBコンビのビルドアップに課題 「スムーズさを欠いた配球でチームを苦しくした」
<DF>
■佐々木翔(広島)=★★
左サイドバックとして先発のチャンスをもらったものの、攻守に迷いが見られた。1失点目の場面では左サイドからのクロスに対してロンドンにつききれず簡単に競り負けた。3失点目のシーンでも左サイドからのクロスに対して後手を踏み、相手にヘディングでの折り返しを許し、4失点目では左サイドを攻略された。ビルドアップの場面でも、前半は同サイドにいた中島が下がりすぎたため位置取りに苦労している印象が窺えた。
■畠中槙之輔(横浜FM)=★★
久しぶりの代表戦出場でアピールにつなげたかったが、4失点と不本意な結果に。所属する横浜FMではビルドアップ能力に定評があるが、共通理解が見えないこの日のメンバーの中では苦労していた。後手を踏み続けた守備面ではパートナーの植田とともに相手FWロンドンを捕まえきれない場面が目立ち、3失点目のシーンでも左右に振られて離してしまった。三浦とのコンビになった後半はやや持ち直したものの、前半の内容が悪すぎた。
■植田直通(セルクル・ブルージュ/→ハーフタイムOUT)=★★
海外組の1人であり、最も実績を積んでいる選手として統率力に期待したが、急造の最終ラインを上手くコントロールできなかった。自身も特にビルドアップの場面では課題を露呈。あれだけベネズエラに高い位置から、ボランチの柴崎と橋本に対してプレッシャーがかけられているのなら、もう少し自らがドリブルで前に持ち出してマークのズレを誘ったり、ボランチを飛び越えたミドルパスを前線に送りたいところ。ボールに向かって真っすぐ下りてきたボランチに短いパスを当てたところで、相手の圧力をかわすことはできず、最終ラインからのスムーズさを欠いた配球がチーム全体を苦しくさせた。もちろん、そうした出し手と受け手のイメージを共有させるのも監督の仕事。選手がピッチ上で迷いながらプレーしているようでは、サッカーを熟知する南米勢には敵わない。
■室屋 成(FC東京)=★★
先制点を許した場面の右サイドでの対応は、ペナルティーエリア内で少し考えられないほど対峙したジェフェルソン・ソテルドに長い時間キープされ、圧力をかけきれないままアシストを許した。攻撃時は自らのポジショニングが低すぎたことが、右サイドでのパス回しが停滞する一因に。右のセンターバックである植田がビルドアップ時に開いた際には、もう少し前にポジションを取れれば、その先の展開が楽になったように見えた。
<GK>
■川島永嗣(ストラスブール)=★★
あれだけサイドから完璧に崩され、中央でフリーで相手に合わせられてはGKとしてなす術がないだろう。コーチングによってその守備を修正するのも最後尾にいる守護神の役目ではあるが、約束事が見えないなかでは的確な指示も出せなかったのではないだろうか。もちろん、経験豊富な川島だからこそ最後の部分でのセービングに期待したが、前半だけで4失点を喫してしまった。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。