「“ごまかし”はもう利かない」 惨敗の日本代表「ベネズエラ戦出場16人」を金田喜稔が採点
前半は“引きすぎた”中島 「“ごちゃごちゃしていた”エリアをさらに混乱に陥れた」
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■中島翔哉(ポルト)=★★★
率直に言って前半は“引きすぎ”。いくらボールが出てこないからといって、左サイドハーフからボランチの位置に下がってしまうと、ビルドアップの共通理解がなく、ただでさえ“ごちゃごちゃしていた”エリアをさらに混乱に陥れた。中島があれだけ引くと、左サイドバックの佐々木も怖くて上がれない。もちろん簡単には取られないキープ力は見せたが、効果的とは言い難かった。もっとも、そこを修正するのは監督の仕事。後半はポジションを上げ、日本の攻撃をリードしただけに、チームとして前半のうちに的確な修正を施したかった。
■原口元気(ハノーファー/→後半37分OUT)=★★★
右サイドハーフとして久しぶりのスタメン起用。左サイドでプレーする際には、ドリブルから中へ切り込む形を得意とするが、ロシアW杯の時もそうだったように右では内側へ持ち込むことはほとんどない。攻撃時には右サイドバックとの縦関係が一つのポイントになるが、室屋と連動するシーンはほとんどなく、ボランチの橋本を含めてサポートをあまり得られなかった。
■柴崎 岳(デポルティボ)=★★★
試合後には攻守両面で修正できなかった自身を責める発言を残したようだが、自身の統率力云々というよりチームの連動性のなさが引き起こした問題。守備面では取りどころが定まっていないため、後手を踏むシーンが多く、ビルドアップでも後方のセンターバックとの距離感が良くないシーンが多かった。後半に入り徐々に縦パスを供給するシーンは増えたものの、決定的な仕事はできなかった。
■橋本拳人(FC東京/→後半20分OUT)=★★★
柴崎とともにビルドアップ面で苦労し、パスを引っかけるシーンもあった。持ち味である守備面では、前半の立ち上がりは相手に激しく寄せて突破を防ぐシーンも見られたが、チーム全体が連動できなかったこともあり、時間の経過とともにポジショニングに戸惑いも感じられた。個人のパフォーマンスだけの問題でないのは明らかだが、9月、10月の代表戦では着実に評価を高めただけに、少し物足りない印象だった。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。