「苦行のドラマに引きずり込まれる」 モウリーニョ招聘の“ギャンブル”に英記者が警鐘

トットナムに就任するモウリーニョ監督【写真:Getty Images】
トットナムに就任するモウリーニョ監督【写真:Getty Images】

モウリーニョ就任を発表したトッテナムに対し「地震が起こるようなもの」

 イングランド・プレミアリーグのトットナムは、マウリシオ・ポチェッティーノ監督を解任し、後任にジョゼ・モウリーニョ監督を据えることを発表した。英衛星放送「スカイ・スポーツ」の記者は、この選択をクラブにとってもモウリーニョ監督にとってもギャンブルだと報じている。

 現在プレミアリーグで14位(3勝5分4敗)と低迷するトットナムは、現地時間19日にポチェッティーノ監督の解任を発表。ポルトガル人の名将と2022-23シーズンまでの契約にサインしたことを正式に発表した。

 この選択を同局のピーター・スミス記者は、クラブ側の立場から見て「ギャンブルである」とした。

「ダニエル・レビー会長はハイリスク・ハイリターンの選択を行った。勝つためなら何でもする監督のために、トットナムの伝統的なスタイルに背を向けた。過去5年間クラブを形成し、魅力的で攻撃的なサッカーを浸透させたスパーズの歴史に基づいた哲学は、最終ラインにテコ入れするためにバスを並べ、現実主義を元にプレーする監督へと交換された。モウリーニョ監督が最初のトレーニングセッションから教え始めるこの移行は、スパーズ選手にとって地震が起こるようなもの」

 ポチェッティーノ監督による攻撃的サッカーの哲学は昨季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の準優勝という形で結実したが、モウリーニョ監督の哲学は「勝利こそすべて」であり、そのスタイルの移行にリスクが伴うことを強調していた。

 また、スミス記者はモウリーニョ氏のライフワークでもある舌戦がトットナムに影響をもたらす可能性についても「レビーはまた、モウリーニョ体制の最後の数ヶ月でマンチェスター・ユナイテッドが味わった苦行のドラマと論争に引きずり込まれる危険にさらされている。記者会見でメディアとの対立、選手に対する論争、トレーニング場の緊張、そして最終的にはサポーターを分裂させ、モウリーニョの解任を不可避にする有毒な空気が蔓延することだ」と訴えている。

 さらに、同局のロブ・ドーセット記者は、モウリーニョ監督の立場からは資金的な面が「ギャンブルである」としている。

「彼はプレミアリーグへの帰還を果たしたが、サイクルの終わりにあるチームを引き継ぐ。契約満了が近づき、他のクラブの動きに目を向ける選手がいる。チームにはアップグレードが必要なポジションがいくつかある。特に右サイドバックと中盤だ。モウリーニョ監督は、以前のクラブで経験していた移籍市場での財政的支援なしに、これらの問題に対処しなければならない」

 トットナムはあまり移籍市場で多額の資金を活発に投下して選手を補強するクラブではない。しかしながら、モウリーニョ監督はレアル・マドリードやユナイテッドなどで、潤沢な資金をバックに自らが求める補強をクラブにリクエストし続けてきた。そうした動きが制限されるなかでこれまでの名声を維持するような成績を残せるかどうかが、指揮官に対するリスクだと指摘している。

 同メディアで互いにリスクが大きいと指摘されるトットナムとモウリーニョ監督のタッグだが、その“ハイリターン”を獲得することができるのか。まずは冬の移籍市場の時期までに大きな注目が集まると言えそうだ。

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(FOOTBALL ZONE編集部)



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