東京五輪世代「ポジション別最新序列」 U-22代表、国内遠征で見えてきた“変化”は?
主将・中山が低調なパフォーマンス ボランチ争いは混沌とした様相に
【サイドバック/ウイングバック】
■広島遠征組
△ 菅原由勢(AZ)
△ 菅 大輝(札幌)
△ 長沼洋一(愛媛)
△ 橋岡大樹(浦和)
△ 鈴木冬一(湘南)
■招集外
— 杉岡大暉(湘南)
— 相馬勇紀(鹿島)ほか
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3バックシステムを採用するとなると攻守の肝になるのがウイングバック陣だが、今回の遠征でこのウイングバック陣が不発に終わったのは不安要素と言える。これまで左サイドで頭一つ抜けていた杉岡が怪我のために招集外となったなか、チャンスを得た菅は決定的な仕事をすることができず。鈴木はポリバレントさこそ見せたが、まだまだプレーが荒削りで2人を追い越すほどのパフォーマンスを見せることはできなかった。
また熾烈な右のポジション争いも同様で、現状の有力候補である橋岡、菅原、長沼の3人が選ばれたものの、互いに違いを見せつけることはできず。コロンビア戦で先発出場した菅原は、攻守にいま一つの内容に終始してしまい、大きなインパクトを与えることができなかった。まだまだ絶対的な存在がいないポジションだけに、今は各々がクラブで結果を残してメンバー入りをアピールしていくしかないだろう。
【ボランチ】
■広島遠征組
◯ 田中駿汰(大阪体育大)
△ 中山雄太(PECズヴォレ)
△ 高 宇洋(山口)
■招集外
— 田中 碧(川崎)
— 齊藤未月(湘南)
— 松本泰志(広島)ほか
オーバーエイジの最有力候補と噂されるMF柴崎岳(デポルティボ・ラ・コルーニャ)が中心となる可能性が高いボランチ陣だが、今回の遠征ではネガティブな要素が表面化した。特にこれまで絶対的な存在として考えられていた中山が、広島戦とコロンビア戦で低調なパフォーマンスに終始。主将としてチームをまとめることができず、自身としても存在感を発揮できなかったことは、今後の序列に変化を与える可能性がある。そうなると今回怪我で不参加となった田中碧にかかる期待が大きくなる。所属チームの川崎で存在感を増す男は、先月のブラジル遠征でブラジル相手に2ゴールを奪取。有力候補の1人になったと言えるだろう。
また唯一の大学生となった大体大の田中駿汰は、2試合で安定感あるパフォーマンスを披露。もちろんコロンビア戦のパフォーマンスは満足できるものではなかったが、ボール奪取や縦への配球では良さも出ており、これまでより評価を上げたと考えていい。一方、広島戦で結果を残すことができなかった高は、次の遠征に向けて再びアピールしていきたいところだ。
今回招集されなかった齊藤や松本を含めて、ボランチのポジション争いはまだまだ混沌としている。誰がこの中から飛び抜けることになるだろうか。
林 遼平
はやし・りょうへい/1987年、埼玉県生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。