「久保の感性と合っていない」 金田喜稔がU-22代表に警鐘、東京五輪へ“最大の問題点”とは?
「つなぎ合うサッカーをやらないと、久保も生きないし、周りの選手を生かせない」
金田氏は堂安との2人の関係性に限らず、U-22日本代表として久保の能力を生かす環境になっていないと語る。その最たる例として挙げるのが、「アタッキングサードで、どんなパスを選択するのか」だ。
金田氏は大前提として、欧州や南米の列強に比べてフィジカルやスピード、球際でのリーチといった身体的特徴で劣る日本は、相手を崩し切るまで「ルーズボールでの走り合い、競り合いで勝てない以上、ボールを奪われないためには足もとでしっかりとパスをつなぐべき」と主張する。世界の中で、身体的に決して恵まれていない「チリやメキシコも、そういうサッカーをずっとしてきた」と語る一方、日本サッカーは「アタッキングサードでの崩しの場面で、背後のスペースへのパスを選んでいる」と指摘する。
「世界を相手にしたら、(最終ラインの)背後は簡単に取らせてくれない。スピードもフィジカルも日本が劣っているわけだから。でも、日本のサッカーはいつも局面を打開する時、『スルーパスで背後のスペースを突く』、あるいは『ワンツーで相手の裏』を狙っていく。おそらくそれは、小さい頃からこうしなさいと選手が学んできたことなのだろうが、その感覚を持ったままでは世界で通用しない」
そうしたなか金田氏が見る限り、久保のプレーからはそうした意識を感じないという。
「久保は若年層から、バルセロナで足もとの技術が高い選手たちを間近で見てきた。彼らは足もとでつなぐ技術も自信もある。だからお互いに足もとへのパスを選択しながら連動して、最後の局面で相手DFが飛び込んできた時に生まれたスペースを、ワンツーやスルーパスで狙っていく」
バルサの下部組織で育ち、現在もスペインで戦う久保には、そうした感性がすり込まれていると語った金田氏は、「つなぎ合うサッカーをやらないと、久保自身も生きないし、久保自身も周りの選手を生かせない」と、両者の間に“ギャップ”が存在していると指摘する。