坪井慶介が愛され、慕われた理由 J2山口での“最後の2年”に同僚感謝「幸せな時間だった」
三幸が見続けた坪井のプロフェッショナリズム 「絶対に諦めるなと…」
この2年間、坪井のそばで帝王学ならぬ“坪井学”を修めてきた三幸は、「プロフェッショナルとはこういうことなんだな、と。メンバーに選ばれなくても1人黙々と、メンバーに入った時と同じようなスプリントをしたり、走っていたり」と、坪井のプロフェッショナリズムにほだされた。
今年はテレビのバラエティー番組にも一緒に出演して、池の水を全部抜いたり、サイドバックからセンターバックへと守備範囲を広げた前貴之も含めた3人で、しばしば食卓を囲った。「後継者」という言葉は適切ではないかもしれないが、前はセンターバックとしてもスタメンで活躍。誕生日の日付が同じながら、14歳も年下の前の躍動は、坪井の目にも頼もしく映っただろう。坪井は彼らに日本代表時代の話も語り、三幸や前の背中を押した。
「ツボさんは絶対に諦めるなと言ってくれた。『俺は代表には運良く入れたけど』と言っていたけれど、あの努力をしていたら入れると思う。入って当たり前の選手が入ったし、自分も絶対に諦めてはいけない」
坪井に残された時間はあと1試合、90分。彼は最後にピッチに立つだろうか――。
選手を選考する霜田正浩監督にとっても坪井は特別な存在で、山口での功績は計りしれない。ただ、「ツボに関してはいろいろな思いがある。勝っても負けてもどちらでもいいので、ツボが見たいという人もいるだろう。しかし、僕らはエンターテイメントであると同時に、勝敗の懸かったプロスポーツをしている。そこはきちんと判断したい」と複雑な胸中を明かし、「勝つために必要か」を見極めたいと話した。
選考に温情を含めない。プロフェッショナルに対して、プロフェッショナルの視座から選考するのが、坪井に対する最大限のリスペクトだ。
人格者と言われる坪井が最後に選んだ山口。ビッグクラブではない、生まれたてのJクラブで40歳は走り続けた。そして、その背中を、誰もが追い続けた。三幸はこう締めくくった。
「負けても勝てても厳しいトレーニングができるのは、ツボさんがやっているから。ツボさんはスタッフが止めない限りは、自分で絶対にストップとは言わない。学ぶところが多かった幸せな時間だった」
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(上田真之介 / Shinnosuke Ueda)