「余裕ができてきた」 DF植田直通、2年目のベルギーで見せる“一段上のプレー”
【ベルギー発コラム】堅い守りでセルクル・ブルージュにとって約2カ月半ぶりの勝利に貢献
ベルギーリーグ最下位のセルクル・ブルージュは11月9日、シント=トロイデン(STVV)を2-1で下した。一つの引き分けを挟んで8連敗という不振に喘いでいたセルクル・ブルージュにとって、実に約2カ月半ぶりの勝利だった。センターバックとして堅い守りで勝利に貢献した日本代表DF植田直通は、「相手の戦術を分析してトレーニングをしてきた。それが今日、結果として出て大盛り上がりになって良かったという気持ちです」と、嬉しそうな笑顔にホッとしたような表情を交えて語った。
セルクル・ブルージュの選手たちは伸び伸びとプレーし、最下位のチームにありがちな悲壮感や必要以上の気負いといったものは見られなかった。その背景には、第11節からチームの指揮を執るドイツ人の名将ベルント・シュトルクの手腕がある。
それまでのセルクル・ブルージュは相手に大量失点を許して大差で負けるチームだったが、第12節の強豪ヘンク戦で敗れはしたものの0-1の接戦を演じたことで、チーム力が上向いた。それからはムスクロンに2-2、格上のアンデルレヒトに1-2という好試合を続けて、STVV戦の勝利につなげた。
「監督が代わって、選手たちも気持ちを新たに切り替えていこうとやっている。みんなネガティブじゃないし、最下位にいるという感じがしない。僕自身もそう。チームとして『やることをやっていけば上に行ける』というスタイルです。監督がチームを一つにしてくれているのは間違いない。かなりチームがいい状態になっていると思います」
植田自身のプレーもそう。肩の力が抜けたような自然体でプレーし、長短のパスを柔らかく蹴り分けている。周りがよく見えて余裕があるのか、クリアがしっかり味方につながるようになり、あわやアシストになりそうなヘディングでのクリアもあった。
「ベルギーで(2シーズン目を過ごしていて)余裕ができてきた。ヘッドする前に位置が見えているから、味方につながる。相手との1対1に勝つのが大前提ですけれど、僕はその上を目指していて、ボールをつなぎたいという意識がある。今は、味方の位置がすごく見えている。かなりコンディションが良いのかなと思います」
中田 徹
なかた・とおる/1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグなどを現地取材、リポートしている。