久保建英に送られた“スタンディングオベーション”の価値 スペイン人記者「最高のゲーム」

本拠地に駆けつけたサポーターも万雷の拍手を送っていた【写真:Getty Images】
本拠地に駆けつけたサポーターも万雷の拍手を送っていた【写真:Getty Images】

得点シーン以外にも随所で輝くプレー、本拠地ファンから“最大級の賛辞”

 まず前半11分、左CKを蹴った久保が跳ね返ったボールを受け、ビジャレアル2選手を巧みなステップでかわした後、MFビセンテ・イボーラに倒されて最初のPKを誘発した(得点者はFWラゴ・ジュニオール)。さらに前半22分、今度は中盤でダニ・ロドリゲスと絶妙なヒールパスで連係し、PK奪取につながるプレーに関与した(得点者はダニ・ロドリゲス)。

 2点のリードを奪ったマジョルカは後半4分、カソルラのPKにより1点差に詰め寄られ、苦しい時間を過ごすことになったが、その状況を久保が解消した。

 同8分、ペナルティーエリア正面でフェバスからパスを受けると、久保は左足を素早く振り抜き、ゴール右下隅に低い弾道のシュートを突き刺した。このゴールは久保にとって、マジョルカデビューから10試合目での記念すべき初ゴールとなった。

 さらに久保はゴールに絡んだ以外でもドリブルでファウルを誘発し、鋭いクロスを供給。正確なFKを蹴りスルーパスを通すなど、随所に輝くプレーを披露したが、後半22分、モレノ監督の「チームをリフレッシュさせるため」という理由によりピッチを去った。その際、本拠地ソン・モイシュの観衆から最大級の賛辞と受け取れるスタンディングオベーションが送られていた。

 久保の大活躍によりマジョルカは3-1で勝利し、5試合ぶりに勝ち点3を獲得。4勝2分7敗の勝ち点14とし、順位を16位に上げている。

 久保は試合後、この日の自己採点について「試合開始時に一度チャンスに失敗したので10点中9点ですね」と回答。マジョルカ加入後のベストゲームかについては「ゴールを決めたという点ではベストゲームでした」と答え、初得点までに10試合かかったことについては「長かったといえば長かったです。でも入ったので、今までのことは忘れ、この入った感覚を維持していければいいかなと思います」と冷静に答えていた。

 鋭いドリブルによって、第4節アスレティック・ビルバオ戦(0-0)に続き2度目のPKを奪ったことについては、「自分はボールを持った時に違いを出せる選手だと思っていますし、仕掛けないと何も生まれない。積極的な仕掛けがPKにつながったと思います」とコメントしている。

高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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