「冬の移籍」と日本代表の欧州進出をデータで斬る 山口&太田の成功の法則とは?
“日本人慣れ”をしている2人の新天地
こうした前例を振り返りながら、今冬の移籍が決まった2選手の新天地を見ると、日本人選手が行く環境としては悪くない。
太田が移籍するフィテッセは、現在オランダ1部のエールディビジで5位。ヨーロッパリーグ(EL)出場権を得られる3位フェイエノールトと勝ち点差8と離れているが、4〜7位に与えられるEL出場権獲得プレーオフへの進出は可能なポジションだ。上を目指せる空気に支配された中で、チームも過去にDF安田理大、FWハーフナー・マイクを冬の移籍市場で受け入れているため、日本人選手の扱いには慣れているだろう。
また山口の行くハノーバーは、ロンドン五輪代表時代のチームメイトであるMF清武弘嗣、DF酒井宏樹が在籍しており、ピッチ内外でのサポート体制は充実している。もちろん、チームは現在、ドイツ1部ブンデスリーガで自動降格圏の17位に沈んでいるが、残留圏となる15位のシュツットガルトとの勝ち点差は1と、絶望的な状況ではない。また、移籍決定が発表された同日にミヒャエル・フロンツェク監督が退任したことも、新戦力である山口にとってはポジション争いが横一線になったことを意味する。決してネガティブな状況ではないだろう。
共にウインターブレイク中のトレーニングを経て、太田のフィテッセは1月16日にアウェーでのカンブール戦、山口のハノーバーは23日のホームでのダルムシュタット戦で後半戦の幕が上がる。限られた時間の中で、いかに自らの能力をアピールし、新天地の環境に適応できるか。2人の新たな欧州組の活躍に期待したい。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images