長谷部誠が「鉄人」である理由 バイエルン戦“欠場”に見たプロ意識の高さと監督の信頼
体から発せられるサインに敏感に反応 「自分にしか分からない部分がある」
長谷部はドイツで、どこまでも信頼されている。そういえば、日本代表MF鎌田大地が、ELのスタンダール・リエージュ戦後にこんな話をしていた。
「嘘でしょうけど、23(歳)の頃は疲れたことがなかったって、僕にはずっと言ってきて。そんなわけは絶対ない」
その時は笑った。でも、本当にそうなのかもしれない。そのくらい長谷部は、自身のコンディション調整に気を配り続けている。
DFBポカールのザンクト・パウリ戦後に、長谷部は負傷者が続出しているチーム事情について、「怪我をしないっていうのも、選手としての一つの評価」との見解を示していた。怪我をしないように気をつけることも好選手の条件――。そのとおりだ。だからこそ、体から発せられるサインを敏感に読み取り、休みが必要な時はスパッと休む。
「昨シーズン、12月に連戦をやってて少し小さな筋肉系の怪我をした時があって、それをするというのはまた、より長い離脱になってしまう。自分の体のフィーリングは自分にしか分からない部分があるので、それは正直に監督にも話している。そういうのはオープンに、監督にすべて言える環境だとは思います」
7日のELスタンダール戦に長谷部はフル出場も、チームは1-2と敗戦。今季好調のフライブルクと対戦する10日のアウェーゲームで勝利を手にし、代表中断期間でしばしの休息といきたいところだ。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。