白熱の決勝も…ルヴァン杯はこのままでいいのか “若手の登竜門”になりきれない現状に疑問
J1と大学が競う「U-23選手権」にするのが最適な世代強化への道
結局日本には、世界(五輪)や各大陸には存在する「U-21」や「U-23」の選手権がない。高校1年生の出場機会創出のために国体を変革したのに、プロの新米選手のほうは「そこまでくれば、あとは実力次第」と放置されてきたのだ。
18歳以上の選手たちに最も必要なのは、真剣勝負の場である。そして天皇杯等の実績を見ても、大学がこれだけプロに肉薄している現状を見れば、ルヴァンカップはJ1と大学が競うU-23選手権にするのが最適な世代強化ではないだろうか。同年代でプロと大学が切磋琢磨すれば、互いの利点、弱点も見えてくる。もちろん、プロ側にハンデが大き過ぎると思えば、オーバーエイジ枠を設ければいい。
日本サッカー協会は、ワールドカップ優勝の未来を描いているはずである。アンダーエイジ1枠確保(しかも21歳)という“及び腰”の改革速度は、どう見ても大きなアドバルーンにそぐわない。
(加部 究 / Kiwamu Kabe)
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加部 究
かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。