打ち破られた“大島包囲網” 札幌MFが川崎のレジスタに脱帽 「脅威として認識していた」
川崎の攻撃にリズムを作り続けた大島 荒野も称賛「本当にうまいと思う」
川崎フロンターレは26日、ルヴァン杯決勝で北海道コンサドーレ札幌と対戦。3-3で迎えたPK戦の末、5-4で制し、初優勝を飾った。先発出場したMF大島僚太は1アシストの活躍を残したが、札幌のMF荒野拓馬は川崎の中核を担う“レジスタ”大島を「脅威として認識していた」と明かしつつも、包囲網を打破するパフォーマンスに脱帽している。
過去4度にわたりファイナル進出を経験している川崎だが、いずれも準優勝に終わっている。札幌戦でも前半10分に豪快なボレー弾を叩き込まれ先制を許す厳しい立ち上がりに。同アディショナルにMF阿部浩之が土壇場で同点弾を決め、最初の45分間を1-1で折り返したが、圧倒的なポゼッションとシュート数を記録したのに反して、決定機まで持ち込むのに苦労していた印象が残った。
その要因の一つとして挙げられるのが、札幌の“大島包囲網”だ。この日、大半の時間で高い位置取りをしていた大島に対し、札幌は下がったシャドーとボランチ、センターバック(CB)で人数をかけて挟み込む場面が目立っていた。また、川崎の最終ラインがボールを持っている際も、シャドーに配置されたMFチャナティップとFW鈴木武蔵が大島へのパスコースを切る動きを徹底していた。
しかし、後半に入ると札幌の運動量が落ちてきたことで、中盤が間延びする時間帯が増えてくる。敵陣で自由にボールをより受けやすくなった大島は、川崎の攻撃陣のリズムのギアを上げていき、後半43分には左サイドから浮き球のパスを供給し、FW小林悠の勝ち越しゴールをアシストした。
90分間を通して、特に大島と激しいマッチアップを繰り広げていたのが、札幌の中盤を統率していた荒野だ。試合後、荒野はチーム戦術として大島個人に対し特別な対策を練ってきたわけではないことを説明したうえで、「僕は彼から配給されるボールこそが脅威であることを認識していたので、彼に対しては自由を与えないように注力していた」と振り返った。
札幌の川崎への対策としては「真ん中を固める」というプランを敷いていたことを明かしたものの、そのうえで違いを見せた大島に「最終的に失点シーンは、彼の起点でやられてしまった。本当にうまいと思う」と脱帽していた。今季度重なる負傷離脱に苦しめられ続けた大島だが、決勝の舞台で日本トップクラスのゲームメーカーであることを改めて知らしめたようだ。