「神様は見ていてくれる」 川崎のベンチを8カ月間温め続けた不屈の第2GKが呼び込んだ栄冠

川崎フロンターレGK新井章太【写真:高橋学】
川崎フロンターレGK新井章太【写真:高橋学】

川崎がPK戦の末に札幌を下しルヴァン杯初優勝 GK新井がPKを2本止める殊勲の活躍

 川崎フロンターレは26日、ルヴァン杯決勝で北海道コンサドーレ札幌と対戦し、3-3で迎えたPK戦を5-4で制し、初優勝を飾った。2本のPKをストップし、大会MVPに輝いたGK新井章太は、優勝を手繰り寄せるPKストップについて「神様は見てくれている」と不遇の時期を乗り越えた末の栄冠を振り返っている。

 過去4度ファイナルに進出している川崎だが、いずれも準優勝に終わっている。この日の決勝の相手はクラブ史上初タイトルを目指す札幌となったが、開始早々の前半10分、MF菅大輝の豪快なボレーシュートがポストを叩いた後、新井の背中にボールが当たってゴールマウスに吸い込まれ、先制点を与える苦しい展開となった。

 それでも、前半アディショナルタイムにMF阿部浩之が同点弾を決めると、延長戦までに互いに2点ずつを追加するシーソーゲームに。3-3の白熱した接戦で迎えたPK戦、新井は見事なジャンピングセーブで5人目のPKを弾き出すと、6人目のシュートもキャッチし、GKにとってはこれ以上ない形で優勝を引き寄せた。

 新井の今季公式戦初出場は7月3日に行われた天皇杯2回戦の明治大学戦(1-0)だった。2018 年11月3日に行われた昨季リーグ戦第31節柏レイソル戦(3-0)以来の出場となり、8カ月ぶりにピッチに立った瞬間だった。その後、次第にルヴァン杯やリーグ戦でも先発に抜擢される機会が増えてきている。

「ずっとサブGKでいたわけで、出られない時期も続いていたけれど、毎日毎日サッカーのことを考えていれば、自分が上に行くんだという気持ちを常に持っていれば、こんな風に神様は見てくれているんだなと思うし、これを他の選手たちにも伝えていきたい」

 川崎をルヴァン杯初優勝に導き、大会MVPにも選出された新井は、ベンチを温め続ける日々を過ごしても、決して折れることなく練習に励み続けた。決勝という大きな舞台PKストップを2本も披露することができたことこそ、その努力の賜物であったことは確かだろう。

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