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名将ベンゲル&岡田氏が考える“監督論” 「スポーツ界のパワハラ問題というのも…」
岡田氏が考える“問題” 「一つ歯車が狂うとリカバーができない」
「一つだけ(日本が)超えていないのは、選手が主体的に自分でプレーすること。自立した選手が少ない。一つ歯車が狂うとリカバーができない。ジーコのドイツW杯(2006年)の時の日本代表はすごく強いと思った。でもオーストラリアに逆転負け(1-3)したところからリカバーできない。なんなんだろうなと思っていて……それは主体的にプレーできていないから」
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ベンゲル氏もそれは感じていること。岡田氏が会場に到着する前の囲み取材では、「20年前からの弱点も残念ながらまだ克服されていない。得点されると、どうしてもパニックに陥ってしまう」と同じことを話していた。1995年に名古屋で指揮を執っていた時から言われてきたことは変わっていないと、岡田氏は証言する。
「ベンゲルが(日本に)来た時に最初に僕ら指導者は何と言われたか。『日本人はどうして、ここではどうやってプレーするか聞くんだ。それを自分で考えるのがサッカーだろ』と言われた。だからもう当時は『ボールがあったら蹴れ』って(ベンゲル氏に)言われたんですよ。自由を与えて判断させないといけない。欧州では原則を教えたうえでの自由を与える。自由の中から判断すると言われても無理。基本という原則がないから、日本はいつまで経っても失敗を繰り返すんじゃないか」
だからこそ、監督が示していかなければいけない。岡田氏は日本が繰り返してきた“失敗”が、現在のパワハラ問題にもつながっていると話す。
「スポーツ界のパワハラ問題というのも、結局殴ったほうが、そっちが勝っちゃう。それはなぜか。日頃からコーチが言ったことを『ハイハイ』としか聞かないことが多い。だからこそ主体的に自立した選手を育てるのが日本の課題ではないか。日本人として僕は今治でやろうとしている」
主体性の持った選手を増やしたうえで、100パーセントの力を引き出すのが監督の仕事。数々のタイトル獲得に導いてきたベンゲル氏は、その力を出し切れず、壁にぶち当たる選手を多く見てきた。