“日韓戦”を制したフットサル日本代表 カズが出場した2012年以来のW杯へ第一関門を突破
公式大会初出場の加藤未渚実が2戦連続ハットトリックの大爆発
前半の20分、どちらが自分たちのやりたいフットサルができたかといえば、完全に韓国だっただろう。だが後半に入ると、試合は一変し、日本が主導権を握ることとなる。
日本は前線からのプレッシングとボールを奪ってからの速攻で韓国を脅かす。後半2分には相手のファウルを誘発して得たFKから加藤が勝ち越しゴールを決める。さらに同6分にも加藤はFP森岡薫との好連係を見せて韓国の守備を切り裂き、この試合2点目のゴールを決めて3-1とリードを広げた。
その後も日本は韓国を圧倒するが、フィニッシュを決めきれない。後半残り8分になると、韓国はパワープレーを開始した。フットサルのパワープレーは、FPにGKのユニフォームを着せて、自分たちのゴールをがら空きにして5人全員で攻め込むものだ。非常にリスクの高い戦術だが、攻撃がハマれば一気に形勢を逆転できることもある。
だが、この日の韓国のパワープレーは日本にとって脅威とならなかった。ブルーノ・ガルシア監督は「韓国のパワープレーは、ゴールを奪うことを目標にしていたというよりも、ボールを保持することを目的にしていた」と話すように、これ以上、点差を広げられないためのもののようにも見えた。
後半13分にボールを奪った日本は、吉川がカウンターを仕掛けようとすると韓国の選手にファウルを受ける。韓国はこれで6つ目のファウルとなり、日本にはゴールから10メートルの位置からシュートを打てる第2PKが与えられた。これを加藤が決めて、日本は4-1とリードを広げ、勝利を決定的なものにした。
試合終盤、日本は再びPKを取られて1点を返されるが、4-2とリードを保ったまま試合を終えることに成功。グループBで2連勝を飾った日本は、AFCフットサル選手権トルクメニスタン2020の出場権を獲得している。
試合後、キャプテンの吉川は、「本当に厳しいゲームでした。前半の戦い方をもう少し良くできた部分もあるのかなと思います。けれども、次の本大会出場のチケットを取ることができたのが一番なので、そこは非常に満足しています」と、試合を振り返りつつ、この2試合で本大会出場を決めるという目的を達成できたことに安堵した。試合運びを反省した吉川に続き、ハットトリックを達成した加藤も「個人としては、前半のうちにもっと決められるチャンスがあったので、満足はできない」と、自身のプレーに納得した様子は見せなかった。
AFCフットサル選手権トルクメニスタン2020が開催されるのは、来年2月。フットサル日本代表は出場権を獲得したが、今予選に出場した選手たちも、本大会のメンバーに選出される保証はない。今回2連勝したなかで、個々が感じた課題と向き合い、どれだけ成長できるか。それが急速なレベルアップを見せているアジアの国々との戦いを、日本が勝ち抜くためのカギになるはずだ。
(Futsal X・河合拓 / Taku Kawai)
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