名将ベンゲル、岡田氏と交わした9年前の約束をお断り? 「クレジットカード忘れちゃった」
来日中のベンゲル氏が都内で“親友”の岡田元日本代表監督とトークセッション
プレミアリーグの名門アーセナルで長年監督を務めたアーセン・ベンゲル氏が24日、都内で講演会を行った。第1部ではFC東京の大金直樹社長と東京ヴェルディの羽生英之社長とともにトークセッションを、第2部では元日本代表監督でJFL・FC今治の岡田武史会長と熱い議論を交わした。岡田氏とは、2010年南アフリカ・ワールドカップ(W杯)前から親交を深めたというが、当時交わしたある約束について親友から“クレーム”が入った。
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ベンゲル氏は1996年から昨年までの22年間はアーセナルで指揮を執り、プレミアリーグで3度頂点へ導くなど、数々のタイトル獲得に貢献してきた名将。1995年には名古屋グランパスで監督を務め、天皇杯優勝を経験している。“親友”の岡田氏とは、2010年南アフリカW杯頃から親交を深めたという。岡田氏は出会いを明かした。
「彼がグランパスの監督で来た頃は、挨拶程度だったけど、2010年W杯前に時々欧州に行っていて、その時アーセナルへ寄って彼からアドバイスをもらったり、話したりするようになった。それから、ちょっと親しい感じ(笑)」
当時から、岡田氏はベンゲル氏に“ヒント”をもらっていたという。「ベンゲルのサッカーは日本人に合っている。ショートパスをつないで、相手の組織を崩していく意識が強い。力ずくでこじ開けるよりも戦術的に知的なサッカーをやるイメージだけど……ちょっと褒めすぎ?(笑)」と冗談を飛ばしながら、和やかな空気でトークセッションは進んだ。しかし、岡田氏の一言で仲の良い2人の間に“亀裂”が生まれてしまう――。
「たぶん、彼覚えていると思うけど約束があるんだよね。覚えている?」
岡田氏の言葉に、ベンゲル氏は困った顔。「あれ、一緒にスタジアムの隣に作った老人ホームに入ろうという約束だったっけ?」と返答するも、岡田氏の答えはノー。その約束は16強入りを果たした10年南アフリカW杯前に交わされたものだった。
「W杯前、欧州を回っている時に、アーセンのところに遊びに行ったんです。練習が終わって、彼とコーチと3人でお茶を飲んで話していたら、アーセンが『お前、このグループリーグ突破できるわけないやろ。だって、セットプレーで終わりだよ。もし、このグループを突破したら東京にビッグスタチュー(巨像)建ててやる』と言ったんですよ」
2010年南アフリカW杯のグループリーグ。日本はE組でオランダ、カメルーン、デンマークと同居した。強豪ばかりのグループとなったが、初戦でカメルーンを1-0で退け、オランダには0-1で敗れたものの、第3戦でデンマークに3-1と勝利。ベンゲル氏から「突破できるわけがない」と言われたが、グループ2位で決勝トーナメントへと駒を進めた。
当時の約束を思い出したベンゲル氏は苦笑い……。思わず「ちょっとクレジットカード忘れちゃった」とお茶目に返答し、会場は大爆笑に包まれた。2人の強い友情の絆があったからこそ、交わされたやり取りだった。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)