澤穂希が現役引退を電撃発表 なでしこのレジェンドは皇后杯でラストダンスへ
リオ五輪を前にスパイクを脱ぐ決意
日本女子サッカー界のレジェンドがスパイクを脱ぐ。16日、INAC神戸のMF澤穂希が、今シーズン限りでの現役引退を発表した。代理人事務所が明らかにし、17日に都内で会見を行う。19日に準々決勝が開催される皇后杯が、現役最後の舞台とな
る。
1993年に15歳で日本代表デビューを果たした澤は、まさに日本女子サッカー界のパイオニアだった。1999年にアメリカに渡ると、その技術力と敏捷性から「クイック・サワ」の異名を取った。日の丸が付いた青いユニフォームに袖を通して戦ってきた数は、実に205試合。代表83ゴールは男女を通じて日本サッカー史上最多だ。2011年度に日本人として初めてFIFA最優秀選手賞も受賞した世界最高の女子プレーヤーが、ついにキャリアの幕を引く。
五輪では、1996年のアトランタ大会が初出場。以降、2004年のアテネ、08年の北京、12年のロンドンと4大会に出場し、ロンドン大会では銀メダルを獲得した。女子ワールドカップは、1995年のスウェーデン大会から、99年、2003年、07年、11年、15年と6大会連続で出場している。「苦しい時は私の背中を見て」と、日本の女子サッカー界を引っ張ってきた澤は、11年女子ワールドカップ・ドイツ大会決勝のアメリカ戦では、延長後半に劇的な同点ゴールを決めて日本中を感動の渦に巻き込んだ。
そして、昨年には一般男性との結婚を発表。来年のリオデジャネイロ五輪出場にも意欲を見せていたが、それを前にしてスパイクを脱ぐ決断を下した。
19日からの皇后杯が、澤の背中を見る最後のチャンスだ。勝ち進めば27日に等々力陸上競技場で行われる決勝戦が現役最終戦になる。日本女子サッカーが生んだ不世出のレジェンドは、自らの足でその輝かしい軌跡に最高の終止符を打とうとしている。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images