帽子にイヤホン…「なんじゃこいつ」 恩師が明かす、鎌田大地の“変貌”秘話
当時から光ったのはパスセンス 「僕らは教えられへん」
中学3年の夏から鎌田の存在を知っていた福重監督。その時は主力に代わって途中出場した鎌田のパスセンスに驚いた。「ちょっとした時間やったんですけど、スルーパスを狙っていて、その場所がすごく面白い。僕らは教えられへん」。実力を持ち合わせた鎌田は入学後、1年からAチームになった。主力として活躍する力はある。だが、なかなか先発に名を連ねることができず、本人も「1年の時は全然出られなくてつまらない、なんであいつが出てんねん、という感じだった」という。それも課題が明白だったからと指揮官は話す。
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「高校サッカーに必要なメンタルとか、中学の時に課題やったハードワークするとか、まだまだ足らなかった。そういうところが足りなかったので、常にフルでは出ていなかった」
そんな鎌田は、ある一戦をきっかけに変貌を遂げることになる。1年生だった12年の全国高校サッカー選手権京都府予選の決勝。京都橘高との対戦で1点を追う終盤、鎌田は同点に追いつく好機を逃してしまった。夏の全国高校総体に出場したチームは、選手権への道が途絶えた。だが、その一戦を機に鎌田にはある感情が芽生えていた。
「彼(鎌田)の口からも出ていたんですけど、途中出場の時に1年生やのに部員100人ぐらい、先輩がすごく応援してくれた。チームのために『やらなあかん』と大会、試合を通じて感じていた。勝負を落としてしまったけど、そこで責任を感じて。サッカーが好きやし、チームのために頑張るというのはその瞬間……やけど、さらに変わったのは主将になってから。最高学年で主将になった時に」
もともと“ヤンチャ”な少年だった鎌田が、新チームになった高校2年の11月、主将に立候補した。指揮官は驚いたが、鎌田を呼び出して本音で話し合った。
「彼と喋ったのは『これは賭けや』と。『東山がつぶれるのか。今までの伝統をつぶすのはお前かもしれん、賭けや。お前がやって変わったらチームはえらい強くなる』と。わがままやってしまうと、お山の大将になってチームは崩壊する。でも、彼に託しました」