“ブレイクスルーの瞬間”はすぐそこに… 鎌田大地、危機感を感じながら積み上げる自信
「それ以外のプレーの部分は悪くないから使われていると思う」
同点ゴールも、この鎌田の仕掛けから生まれている。後半10分、相手がズレたスペースでパスを受けると、そのまま軽やかな動きで相手を1人かわしてペナルティーエリア内へ侵入。DFの必死のブロックでシュートには持ち込めなかったが、これで得たCKのこぼれ球をMFセバスティアン・ローデが鮮やかな胸トラップボレーでゴールを決めた。
「相手が真ん中をすごく閉めてくるチームだったので、真ん中っていうよりチームとしては外を使おうっていう話はしていたので」
求められているプレーを高いレベルで実践できている――それは確かだ。だから、点が入らないことへの焦りや危機感を多少は感じながらも、あくまでポジティブに戦い続けている。
「別にマイナスに考えてもいいことにならないので、点を取れていないですけど、試合に使ってもらえているし、それ以外のプレーの部分は悪くないから使われていると思うので。得点とか、そこさえできれば、チームにとって大事な選手になれると思うし、まだまだシーズンも長いし、僕もまだ23(歳)なので、継続してやっていくことが大事かなと思います」
開幕からここまで主力として起用されてきた。そして1試合ごとに課題を持ち帰り、しっかりと成長に変えて歩いてきている。一つのゴールをきっかけにさらなるブレイクスルーを果たせるところまできている。そして、その時は決して遠い未来ではないはずだ。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。