久保建英は「マジョルカで愛されている」 スペイン記者証言も…立ちはだかる“二つの壁”
「TAKE」ユニフォームを着るサポーター「本当に凄い選手」
「TAKE」のユニフォームを身につけたフアン・アントニオさんは試合前、「僕にとってタケ・クボ(※スペインでの久保の愛称)は、本当に凄い選手だよ。僕たちを大いに助けてくれているし、18歳にもかかわらず、素晴らしい選手であることを証明しているから、僕は彼のユニフォームを買うことを決めたんだ。彼のことが大好きだよ」と興奮気味に語っていた。
また試合前から、久保とエスパニョールの中国代表FWウー・レイの“アジア人対決”に注目が集まり、現地紙も特集。キックオフ時間も、日本や中国でも見やすい時間となった(※日本時間は19時)。
試合は開始から両チームとも決定機を作れないまま時間が経過。マジョルカのパスミスが目立ったが、前半11分にラゴ・ジュニオールが両チーム合わせて最初のシュートを枠に飛ばした。
その後マジョルカ、エスパニョールともプレーの正確性を欠き、大きなチャンスを作ることができなかったが、前半37分にサストレのクロスをブディミルが脇腹で合わせて、マジョルカが開幕戦以来の先制点を記録し、前半をリードして折り返した。
久保は後半開始直後からウォーミングアップを開始し、後半10分にピッチ脇に立つとスタンドから大歓声が起こる。その2分後にラゴ・ジュニオールと代わりピッチに足を踏み入れると、溢れんばかりの“クボ”コールが起こった。この声援は間違いなく、久保がアスレティック・ビルバオ戦で見せたPKを引き出したドリブル、ヘタフェ戦でのアシスト、アトレチコ戦での決定的なシュートなどに対する、大きな期待の表れだろう。
久保はいつもの4-1-4-1システムの右サイドではなく、普段プレーしていないラゴ・ジュニオールの左サイドハーフだった。しかしチームが1点をリードし守備的な戦いをしたため、久保にほとんど攻撃を仕掛けるチャンスはなかった。投入直後の後半13分に縦への突破を図るも失敗し、数少ないながらもボールを持った時はアラベス戦同様に激しいタックルを受けて何度もファウルで潰された。唯一観衆を沸かせたのは、後半40分に左サイドで3選手に囲まれながら落ち着いて股抜きパスを出した時だけとなった。
久保がそんな状況だった一方、マジョルカはサルバ・セビージャが後半28分に追加点を奪った。2-0で勝利したチームは、開幕戦以来となる勝ち点3を獲得し今季2勝目。連敗を「3」でストップし、エスパニョールと入れ替わる形で18位に浮上した。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。