清水が欠いた“一つの選択肢” 「痛いのは浦和だった」を実現できなかった理由は?
篠田監督は「最低勝ち点1を持ち帰るというのは、全員が分かっていました」と話すが…
システム変更の前は浦和の2シャドーがボールを効果的に受けるのに苦労をしていたが、確かにシステム変更で清水のアンカーの両脇で浦和のシャドーがボールを受ける場面が出るようになった。清水のインサイドハーフは背後に潜り込むシャドーよりも、中盤4人のラインを組むことを意識し過ぎたようにも見えた。それが、金子の話す「前掛かり」にあたるのだろう。逆に、前半よりも深い位置で浦和の攻撃をブロックする場面が増えたことが、試合展開を苦しくした面があった。
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篠田監督は「前半はすごく良くできていたし、狙い通りだったんですけど、後半に1点を取りにいく、もしくは1-1のまま最後にギアを上げようという意思はあった。もちろん、最低勝ち点1を持ち帰るというのは、我々全員が分かっていました」と明かす。しかし、その交代がピッチ内の選手にどのようなメッセージとして伝わったかと言えば、より勝ち点3を奪いにいくという面が強調されたのかもしれない。
まさに金子が話した「引き分けで終わったら、痛いのは浦和だった」という状況を、清水は生かし切れなかった。前節の湘南ベルマーレ戦で6-0の大勝を収めた勢いはあったものの、どこかで現実を見るようなサッカーに切り替えることができれば、残留と順位を争う浦和をより難しい状況にできたかもしれない。しかし、この敗戦で清水は浦和と順位で逆転されたうえに、16位サガン鳥栖からも勝ち点4差のままになった。
9位のヴィッセル神戸から鳥栖までが勝ち点4差、さらに17位松本山雅FCも鳥栖と勝ち点3差という、まさにどこが降格してもおかしくないような大混戦になった。そのなかで、清水は逃した順位と勝ち点1が重くのし掛からないように次節以降の戦いに生かさなければいけない。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)