「若手の登竜門」になれないJ2リーグ 昇格争いを彩る外国籍選手の力と経験値

下部リーグになるほど“鮮度”が大切、経験値を頼りに戦うのは限界がある

 また第32節時で、J2までの全クラブでスタメン(24歳)、ベンチ入り(24.17歳)ともに最も平均年齢が若かったレノファ山口FCのように、宮代大聖(←川崎フロンターレ)、高宇洋(←ガンバ大阪)など将来楽しみな素材を借りて戦っているケースもある。確かに夢のある試みだが、期限付き移籍である以上、継続性を見込むのは難しい。

 横浜F・マリノス、サンフレッチェ広島を除けば、現在危なげなくJ1に定着しているチームの大半は、スタメン平均年齢27歳前後で戦っている。ところがJ2上位の現状を見ると、ほぼ変わらずか、横浜FCや京都などはむしろ上回っている。これでは昇格したとしても伸びしろが限られ、定着が難しくなると考えるのが自然だ。

 少なくとも本来プロは、下部リーグになるほど“鮮度”が大切で、いつまでも馴染みの顔や経験値を頼りに戦っていくのは限界がある。Jリーグはむしろ外国人枠より、ホームグロウン選手の使用義務を課すなど、若い芽を育てるための施策を急ぐべきだと思う。

(加部 究 / Kiwamu Kabe)



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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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