移籍後初ハットのチチャリート 決定力を支える「チームのために」という美学
世界屈指のジョーカーが知る苦しさ
古巣のマンUや昨季期限付き移籍でプレーしたレアル・マドリードではスーパーサブとして限定された時間でゴールを重ねた。
「得点を決めることがストライカーの唯一の仕事と考える人もいるけど、僕はゴールに固執していない。チームの仕事の結果なんだ。僕はすごくうれしい。サブも含めたチーム全体のパフォーマンスから生まれたものなんだ」
世界屈指のジョーカーとしてその名をはせたチチャリート。だからこそ、サブの選手が輝く一瞬を待ちながら、出番を伺う苦しさを誰よりも理解している。自分のエゴよりもチームの勝利を求めるメキシコ人の哲学はストライカーとしては意外だが、そのキャリアから言葉に重みを含んでいた。
「失点はなかったけど、それは運も少しあった。水曜日と違ってね。あの試合では1得点だったけど、今日は5得点できた。それがフットボールなんだ。予想することは難しいね」
9日のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージのバルセロナ戦では強烈なゴールを決めたが、1-1のドローでCL敗退が決定。ヨーロッパリーグに回ることになった。この日はハットで好調を維持。古巣マンUは主将のウェイン・ルーニーら主力の故障離脱などで苦しんでいる。今季堅守の反面、得点力不足に陥り、CL敗退など苦しいシーズンとなっている。オールド・トラッフォードではチチャリートとの離別を嘆かれるほど、ドイツで強烈な輝きを放っている。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images
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