「感極まってしまい…」 浦和FWファブリシオ、苦難の末に決めた“芸術ミドル弾”

強烈なミドルシュートを叩き込んだファブリシオ【写真:高橋学】
強烈なミドルシュートを叩き込んだファブリシオ【写真:高橋学】

ACL準決勝の広州恒大戦、値千金の先制ゴールを叩き込む

 トレードマークのミドルシュートが、美しい弧を描いてゴールに突き刺さった。浦和レッズのFWファブリシオは、2日に埼玉スタジアムで行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦、広州恒大(中国)戦にスタメン出場。前半に強烈かつ芸術的なミドルシュートを叩き込み、2-0の勝利に貢献した。

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 0-0で迎えた前半19分、左サイドから敵陣に侵入した浦和の攻撃で、MF関根貴大からパスを受けたファブリシオはゴール方向へ反転した。左45度付近でゴールまでは約25メートルの距離があったが、「GKが少し前に出ていて、強いボールが枠に行けば」と迷わずにシュートを選択。ややアウトサイドにかかったボールは、高速スライダーとでも呼ぶべきGKから少し逃げるような軌道を描きながらゴール右上に吸い込まれた。

 浦和でここに至るまでの道のりは、決して順調ではなかった。昨夏に浦和へ加入すると弾丸ミドルを一つの武器としてゴールを量産。特徴的なヘアスタイルから、母国ブラジルの友人からリクエストがあったというウルトラマンのスペシウム光線のポーズを取るゴールパフォーマンスも定番になった。しかし、昨年9月のリーグ戦で靭帯損傷の重傷。今季のトレーニングキャンプもまだリハビリという段階で、復帰は今年5月までずれ込んだ。

 それからも調子は上がってこなかった。リーグ戦ではなんとか1ゴールを決めたものの、スタメンに定着することも叶わずに苦しい時期を過ごしている。それだけに、この一撃が決まると「感極まってしまい、何をしていいのか分からなくなった」と、拳を振り回した。そして周囲に集まってきたチームメートに促されるようにして、スペシウム光線のポーズを決めた。

 ACLの戦い、特に中国勢との対戦では相手の外国籍選手がクローズアップされがちだ。そして、それは準々決勝で対戦した上海上港のFWフッキや、広州恒大ではMFパウリーニョといったブラジル人選手であることが多い。それに対して「ブラジル代表やヨーロッパのCL(UEFAチャンピオンズリーグ)でプレーする素晴らしい選手だし、同郷の選手の活躍は嬉しいけど」と話すファブリシオだが、「対戦する時は、彼らを上回って自分が勝ってやるという気持ちでプレーしているんだ」と、プライドをのぞかせた。

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