「リーグカップ」の危機 フランスが廃止を決定、日本のルヴァン杯が進むべき道は?
来季から「クープ・ドゥ・ラ・リーグ」が廃止 決勝は盛り上がるが…
フランス・プロサッカー機構(LFP)は、18日にクープ・ドゥ・ラ・リーグの来季からの廃止を決定した。日本で言えばルヴァンカップ、イングランドならカラバオカップ――要はプロリーグのクラブが参加するリーグカップである。
リーグカップはいわば第三の大会で、どの国もおよそ最初に開催されたのはカップ戦だった。イングランドのFAカップが知られているが、ノックアウト方式の全国大会でナンバーワンを決めたのが最初だ。次が総当たり方式のリーグ戦。まず地域のリーグ戦が始まり、やがて全国統一リーグが運営されるようになった。こちらは試合数が多いので、より実力が反映されやすく、どの国でもリーグ王者こそが真のチャンピオンとされている。カップ戦の優勝者は「チャンピオン」ではなく「ウィナー」だ。日本のカップ戦は天皇杯、リーグはもちろんJリーグである。
リーグカップはトップリーグのチームを中心にしたカップ戦。フランスでは1部と2部のプロチームに一部の3部クラブを足してのノックアウト方式、優勝チームにはUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場権が与えられている。1964年に始まり、最多優勝はパリ・サンジェルマンの8回。ただ、そのうち6回は21世紀に入ってからの優勝だ。次が意外にもストラスブールの4回、リーグ優勝は1回しかしていないがカップ戦に強く、クープ・ドゥ・フランス(日本でいえば天皇杯)も3回獲っている。2000年には2部のグーニョンが優勝。2部クラブの優勝は初めてだった。ところが、その快挙が選手の放出を招き、翌シーズンに降格してしまっている。
決勝は盛り上がる。1998年からスタッド・ドゥ・フランス(フランス・ワールドカップのメイン会場)が舞台になっていて、その最初のファイナルだったPSG対ボルドーは延長PKにもつれ込む大熱戦だった。
ただ、決勝以外は全くと言っていいほど注目されていない。これはイングランドや日本も似たようなものだ。対戦カードがほぼリーグ戦と同じなので、あまり新鮮味がないのだ。ヨーロッパでも今ではイングランド、ポルトガル、フランスぐらいしかリーグカップはやっておらず、ついにフランスが廃止を決めたというわけだ。
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。