鎌田大地、フランクフルト新攻撃陣での“生きる道” 幻ゴールに見た「トップ下の理想像」

喜びを爆発させるフランクフルトMF鎌田大地【写真:Getty Images】
喜びを爆発させるフランクフルトMF鎌田大地【写真:Getty Images】

ELアーセナル戦、新加入FWシウバ&ドストの後方でプレー 完敗もプレーには手応え

 UEFAヨーロッパリーグ(EL)グループステージ初戦となるアーセナル戦で、フランクフルトのアディ・ヒュッター監督は、前線にポルトガル代表FWアンドレ・シウバと元オランダ代表FWバス・ドストという、新加入2選手を初めてスタメンで同時起用した。

 昨シーズン、爆発的な攻撃力を見せていたFWルカ・ヨビッチ(→レアル・マドリード)、FWアンテ・レビッチ(→ACミラン)、FWセバスティアン・アレ(→ウェストハム)のトリオに代わる攻撃の起点、そして得点源として期待されている2人。要所ごとに、才能の片鱗を見せるプレーはあったものの、チームに合流してまだ日が浅いこともあり、本領発揮とまではいっていない。

 ヒュッター監督は、0-3で完敗した19日のEL初戦アーセナル戦後の記者会見で「彼らは移籍市場の最後で加入したため、チームに合流したのが遅かったというのがある。それよりも大事なのは、ゴールチャンスを作り出せているということだ。彼らの得点力に関しては、今後プレー時間を積み重ねて、お互いのプレー感覚が合わさってくれば、徐々に発揮されてくるはずだ。彼らがゴールを決めることができる選手だというのは分かっている」と語った。またクラブの代表取締役であるフレディ・ボビッチ氏も、「もう少し時間は必要だろう。だが、ここからどんどん良くなってくるのは間違いない」と、2人への信頼を口にしている。

 そんなシウバ、ドストとともに、アーセナル戦でトップ下に入り先発した日本代表MF鎌田大地はどうだっただろう。自身のシュートこそ前半25分、右サイド深くに侵入したDFダニー・ダ・コスタからの折り返しを受けて、ダイレクトで合わせた1本のみに終わった。それでも、鎌田のパスからシウバのシュートシーンが生まれたり、CKからのボールをドストがヘディングで合わせたりと、少なからず好機に絡んでいる。

 ゴール前に顔を出し、こぼれ球があと少し転がってくれば……というシーンも何度かあった。試合後、2人とのプレーの感触について聞かれた鎌田は、「悪くないですけど、もっと良くなると思う。シーズンが始まって、選手も全員揃ってまだ間もないので、どこかで上手く噛み合えば、もっと上手くいくと思うし。やり続けていくのが大事かなと思います」と、それなりの手応えを感じていたようだ。

中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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