W杯で輝いた“砂漠のマラドーナ”、伝説の60m超ドリブル弾に再脚光 「象徴的なゴール」
元サウジアラビア代表FWオワイラン、94年W杯ベルギー戦のスーパーゴールをFIFAが回顧
日本代表はワールドカップ(W杯)に、1998年フランス大会から6大会連続で出場しており、10日のミャンマー戦(2-0)から2022年カタールW杯を目指す戦いを再びスタートさせた。今でこそアジアの強豪としての地位を築いているが、連続出場が始まる直前の1994年アメリカW杯アジア最終予選では“ドーハの悲劇”を味わい、あと一歩のところで初の本大会出場を逃した。日本が涙を呑んだ一方、アジア勢としてアメリカ大会で鮮烈なインパクトを残したのがサウジアラビアだ。25年前に生まれた大会史に残るスーパーゴールを、FIFA公式インスタグラムが回顧している。
灼熱の環境下で行われたアメリカ大会は24カ国で争われ、アジアからはサウジアラビアと韓国の2チームが出場した。韓国がグループリーグ敗退に終わった一方、初出場のサウジアラビアはオランダ、ベルギー、モロッコと同居したグループリーグを2位通過し、ベスト16進出の快挙を達成した。そのなかで今も語り継がれるのが、1勝1敗で迎えたグループリーグ最終戦のベルギー戦で、FWサイード・アル=オワイランが決めた伝説のゴールだ。
開始早々の前半5分、サウジアラビアが自陣でボール奪取に成功すると、左サイドでフリーでパスを受けたオワイランが素早くターン。左からベルギーの選手が寄せてくるが、右斜め前方へ一気に加速すると、センターサークルを過ぎたあたりで2選手を置き去りに。その後、前方からスライディングタックルを仕掛けてきたベルギーDFを軽やかなステップでかわしてペナルティーエリアに侵入。4人目の相手をかわすと、前に出てきた相手GKと左から詰めてきたDFより一歩早く、倒れ込みながら右足を振り抜いてゴールネットを揺らした。
1986年メキシコ大会でアルゼンチンの英雄ディエゴ・マラドーナが決めた“5人抜きゴール”を彷彿とさせる一撃を、W杯の大舞台で再現したことから「砂漠のマラドーナ」の異名をとったオワイラン。FIFA公式インスタグラムも「オワイランの象徴的なゴール」と記して映像を公開している。
その後は国際舞台で目立った活躍を残せなかったオワイランだが、25年の時が過ぎてもベルギー戦で放った輝きは色褪せていない。