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果たしてブラジルW杯の“正確”な検証はなされたのか 決勝に進出した2か国が見せたサッカーの真実と日本が進むべき道
セカンドボールで強さを発揮したドイツとアルゼンチン
少し試合内容の考察が必要となってくるのはクロスのデータだ。平均を見ると両チームとも相手の方がより多くのクロスを上げていた。ドイツは6試合中相手より多くのクロスを上げていたのは2試合だけで、クロスを中心としたサイド攻撃が特徴のチームでは無かったようだ。フランス戦では相手の約1/7、ポルトガル戦では約半分、ブラジル戦では約1/3のクロスしか上げていなかった。
アルゼンチンはポゼッション率が76.4%と試合中約3/4のボールを支配していたイランとの試合で相手より2本クロスが多かったのを除けば残りの試合は全て相手の方が多かった。
実はコーナーキック、フリーキックを除いたオープンクロスと呼ばれる流れからのクロスの成功率はそれほど高くない。オープンクロスに飛び込んで味方が触れるのは1試合で平均2、3本だ。成功率に直すと10%台。そして、屈強なセンターバックによって弾き返された9割のオープンクロスの次のプレーはDuelsだ。
ドイツ、アルゼンチン共にDuelsの勝率が高いチームだ。多くの人がイメージしているようにサイドからのボールを味方がダイレクトで決めることはそんなに多いわけではない。むしろそこで競り合ってこぼれたボールの処理が勝負の分かれ目になることが多い。高いポゼッション率がイコールそのままパスで崩して得点したと思いがちだが、ドイツの積み上げてきた得点、メッシが輝くひとつ前のプレーを思い出してもらえれば、最後の決定打は「こぼれて」きたボールへの「反応の速さ」と「対応の的確さ」だったことが分かる。
データを見る限り決勝までの試合でドイツが苦戦したのはフランス戦だろう。そしてアルゼンチンが苦戦したのはベルギー、オランダ戦だ。準々決勝以降の試合は苦戦というよりむしろ冷静に力関係を分析して現実的な戦い方を選んだのかもしれない。