武藤嘉紀は「戦術批判」をしていない 英メディア報道の“真実”を現地取材記者が告白
武藤は「今日もいじられましたよ」と我々を笑わせてくれた
すると目の前で、自分の倍くらいの年齢の記者がしょげているのが気の毒になったのか、武藤は「今日もいじられましたよ。試合が終わって、『ヨシ、今日の戦術はどうだった?』ってみんなに言われて」と言って、我々を笑わせてくれた。
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この次戦となった8月28日のリーグカップ、武藤はプレミアの中堅チームに成長したレスターを相手に今季公式戦初先発を果たし、初ゴールを奪取。PK戦の末に敗れたとはいえ、一番手のキッカーとして見事なPKも披露して、存在感をアピールした。
さらには続く31日のワトフォードとのホームゲームも、1-1の緊迫した場面で後半37分から途中出場。戦力としてしっかり期待されている起用が続いて、幸いなことにここまで戦術批判記事の影響は見られない。
しかし今回の報道で、日本の武藤ファンを心配させたことは紛れもない事実である。この場を借りて、大事なプレミア2シーズン目を迎えた日本代表FWを応援するファンの皆さんに、心から謝罪したい。
西澤明訓、稲本潤一、川口能活が英国にやってきた2001年から今季でプレミア取材も19シーズン目となり、英国メディアの辛辣さ、激しさ、えげつなさを分かっていながらの今回の失態。自分の脇の甘さを猛省するとともに、今度の事件が結果的に”災い転じて福と成す”となり、今季のニューカッスルの躍進と武藤のゴールラッシュにつながってほしいと、切に願う次第である。
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。