浦和からの誘いも断った福岡FW城後 5年ぶりのJ1昇格に万感の思い
「福岡でサッカーを続けることに意味がある」
ボランチ、フォワード、攻撃的MFなど複数のポジションを高いレベルでこなす城後にはこれまでさまざまなオファーが届いてきた。ミハイロ・ペトロビッチ監督が指揮を執る浦和レッズからもオファーが届いた。だが、愚直なまでに“福岡愛”を貫く城後はこう言ったという。「福岡でサッカーを続けることに意味がある」と。経営状態の苦しさから数多くの選手がチームを去って行った。それでも城後だけは、より豊かな条件にも目を振らず、福岡でのプレーを愚直に続けた。
昇格の原動力については、こう語った。
「明確に答えることはできない。監督もコーチングスタッフも変わった。スポンサー、福岡市民の方々の後押しがすごかった。その分、僕たちは応えないといけないと感じていた。他の選手はどういう状況か分からない。僕は福岡に在籍させていただいて、自分なりにどういう状況か分かっている。大きな後押しをしていただけるのは今年が一番だと思う。それが選手にもうまく伝わって、こういう結果につながった。僕たちだけの力ではない」
債務超過により、一時はJリーグのクラブライセンス制度の剥奪危機もあった。だが、福岡市発祥のシステムソフト社の資本参加により、クラブは最大のピンチを脱出した。選手たちだけの力ではない。サポーター、スポンサーあってのJ1復帰であることを城後は、どの選手よりも理解している。
J2で過ごした雌伏の5年間について、質問された城後は万感の表情を浮かべた。「5年ですか。長かったのか、よく分からないです」。かみしめるように語った、その目は、来季戦うJ1のステージを見据えていた。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images