ドイツ代表、衝撃の「世代交代」宣言から半年 賛否を呼んだレーブ改革の行方は?
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EURO予選でグループ暫定首位 今年3月に起きた功労者3人への“代表引退勧告”
ドイツ代表の世代交代は上手くいっているのか。
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9月の欧州選手権(EURO)予選ではホームでオランダに2-4と敗れたが、アウェーの北アイルランド戦には2-0で勝利し、4勝1敗でグループCの暫定首位に立っている。ただチームとして、まだ安定感があるとは言えないパフォーマンスだったのは確かだ。
今年3月にドイツ代表のヨアヒム・レーブ監督は、FWトーマス・ミュラーとDFジェローム・ボアテング(いずれもバイエルン・ミュンヘン)、DFマッツ・フンメルス(ドルトムント)の3人を今後代表に招集しないと発表した。長年の功労者であり、特にミュラーとフンメルス(当時はバイエルン)は所属クラブでレギュラーとして活躍していただけに、ドイツ国内でも衝撃的な決断となった。
「2020年欧州選手権で、彼らのことをプランしていない」
レーブはその理由について、こう説明している。若い選手を信頼し、彼らにチャンスを与え、成長を後押しする――。
だが、当然のように当初は反発も大きかった。バイエルンのニコ・コバチ監督は「トーマス、ジェローム、マッツはガッカリしている。29から30歳で、すでに“もう終わった選手”と評価されるのは正しくない」と批判し、元ドイツ代表キャプテンのローター・マテウス氏は「世代交代が必要なのは理解できるが、その知らせ方とタイミングは問題だった」と指摘していた。
一方で元レバークーゼン監督のクリストフ・ダウム氏は、「タイミングとやり方は良くない。だが私はレーブのことを信頼している。ロシアW杯直後にこうした決断をして、それぞれの選手が槍玉にあげられるのを避けようとした。これまで非常に貢献してきた選手を切ることは、間違いなく簡単なことではない。だが彼が考えるべきは今後2、3試合のことではなく、将来に向けてのプランだ」と、レーブの心境を考慮した発言をしていた。
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中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)取得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなクラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国で精力的に取材。著書に『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。