早くもうるさ型の英メディアを抑え込んだファン・ハール 香川真司が生き残るための2つの鍵とは

受け答えの老かいさは経験値の高さを示す

 会見の当初にも、「マンチェスター・Uというビッグクラブの監督に就任したその意気込みは?」という質問に対し、「私の全力を尽くす所存だ。これまで私が何を勝ち取って来たかは皆さんもご存知の通り、それをここでも再現したい」と話しはじめたが、「しかしビッグクラブといってもスポーツ的には昨季7位のチームだ」ときっぱりと断じて、現在のマンチェスター・Uの立ち位置を明らかにした。

 この辺りの受け答えはまさに老かいで、ファン・ハールの経験値の高さを示している。もちろん、オランダ、スペイン、ドイツでリーグ優勝を果たし、若手を中心としたアヤックスで欧州CLを優勝した実績があるからこそ、こうした対応ができるのだろう。“私の履歴を見れくれ、それで君たちが自由に来季の成績を予想してくれ”といわんばかりである。こうなると、メディアとしては黙って、じっと今後のファン・ハールの動向を見守るしかない。

 このように老かいな新監督は、辛辣な英メディアを相手に初会見を乗り切ったが、日本人としてはやはり香川の今後が気になる。それはこのオランダ人名将の言葉から推測してみたい。

「私の監督としてのモットーは常に同じだ。(そのモットーに従って)選手を見たい。もちろん彼らがどういうプレーをするかは知っている。しかし実際に監督として接し、コーチしなければ、分からない部分もある。(その部分を)これから3~4週間かけて見極めたい。その結果、補強することもあるだろう」

 まずここで鍵となるのが、ファン・ハールのサッカー哲学だが、それは彼が20歳で入団したアヤックスが展開していた“全員でゴールを目指す”トータル・フットボールがその基盤にあることは周知の事実だ。

 それは今回のW杯のオランダ代表でもはっきりと表現されていたが、まさに全員で守り攻める、選手に極限の集中力を求めるサッカーだった。

 

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