「パラグアイ戦出場17人」を金田喜稔が採点 文句なしの“5つ星”、危うさが見えた選手は?
南野は積極性を見せ1ゴール CF大迫との関係は「まさに阿吽の呼吸」
■南野拓実(ザルツブルク)=★★★★
所属クラブでレギュラーとして出続けていることがどれほど大切か、それは南野のプレーを見ていればよく分かる。1試合を通じたスタミナはもちろん、局面での体のキレ、状況判断力は光っていた。特に1トップの大迫との関係性は試合を重ねるごとに精度が高まっている印象で、動き出しのタイミングや距離感などはまさに阿吽の呼吸だった。チーム最多タイのシュート5本を放ち、2点目も記録。トップ下として申し分のない働きだった。
■堂安 律(PSV/→ハーフタイムOUT)=★★★
前線カルテットの1人として、すべてのプレーがダメだったわけではない。1点目のシーンでの中島との絡みなど、上手さも見せていた。だが最近の堂安を見ていると、自身のプレースタイルに悩んでいるのか、かつてのような仕掛けの迫力がない。彼はフィジカル能力が高く、相手を背負ってキープができるからこそ、最近はボールを取られないプレーを多く選択しているように見える。以前はファーストタッチで前を向きプレーの選択肢の幅を広げていたが、今はターンができるタイミングでパスを受けても、“ボールを失わない”ためのコントロールが増え、対峙した相手に怖さを与えられていない。全体的にプレーが粗くなっている印象で、前半25分に日本がカウンターから完璧に崩した決定機でも最後に堂安が決めきれなかった。
■柴崎 岳(デポルティボ/→後半31分OUT)=★★★★
ゲーム全体を見渡していくバランス能力は抜群で、前線4人の能力を引き出す配球を黒子のようにこなした。また、攻撃から守備に切り替わった際のディフェンス力もすごく上がった印象で、球際の強さと危険を察知する感度が高まっている。チームのコンダクターとして中盤で代えのきかない選手。だからこそ、6月のコパ・アメリカでも指摘したように、もっとシュートを打つ意識を見せてほしい。もちろん、前線4人があれだけ機能しているからバランスを見ている部分もあるのだろうが、柴崎にはミドルシュートという魅力もあるからこそ、76分間の出場で0本は寂しい。日本のさらなる成長のために、シュートを決めるボランチになってほしい。
■橋本拳人(FC東京)=★★★★
国内組で唯一の先発。26歳と年齢的にも選手として脂が乗りきっている時期で、チームがJ1リーグ首位と結果を出している自信が漲っている。運動量、ピンチを察する能力、球際の強さ、カバーリング、総合的にボランチとして能力が高いことを証明しており、2点目のシーンで中島にパスを預けるタイミングにはセンスを感じさせた。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。