「パラグアイ戦出場17人」を金田喜稔が採点 文句なしの“5つ星”、危うさが見えた選手は?
出場した全選手を5段階評価 2列目トリオと連動した大迫に満点、中島も高評価
日本代表は5日にカシマスタジアムで行われた国際親善試合パラグアイ戦に、2-0と勝利した。10日にカタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選の初陣ミャンマー戦(ヤンゴン)を控えるなか、森保一監督は攻撃陣に現体制発足当初からの主力であるMF中島翔哉(ポルト)、MF南野拓実(ザルツブルク)、MF堂安律(PSV)の2列目トリオと、エースFW大迫勇也(ブレーメン)を1トップに起用。不動の“カルテット”で南米の難敵との一戦に臨んだ。
その4人が躍動する形で前半23分に大迫、30分に南野がゴールを奪い2点をリード。後半開始から注目の18歳MF久保建英(マジョルカ)を投入し追加点を狙ったが、大きくメンバーが変わったなかで前半のような連動性は生まれず、試合は2-0のまま終了した。攻守両面での充実ぶりを見せた一方、やや消化不良な展開にもなった日本の戦いを、識者はどのように見たのか。
1970年代から80年代にかけて「天才ドリブラー」として活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追う金田喜稔氏が、この一戦に出場した全17選手を5段階で評価(5つ星が最高、1つ星が最低)。無失点勝利により全体的に評価は高くなったが、攻撃陣では堂安に、守備陣では吉田麻也(サウサンプトン)に物足りなさを感じたと語った。
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<FW>
■大迫勇也(ブレーメン/→後半22分OUT)=★★★★★
前線の4人が抜群のバランス感覚と距離感、阿吽の呼吸で攻撃を仕掛けた前半は素晴らしかったが、それを機能させたのは間違いなく大迫のポストプレーだった。相手を背負っての強さ、ボールを引き出すタイミングとも抜群で、誰もが安心して預けられるからチームは連動する。何よりもチームを波に乗せた先制点も、左サイドの長友からのクロスは相手DFに当たっており、決して簡単なボールではなかった。それを左足で正確に捉えて決めたあたりに、所属するブレーメンでの充実ぶりが窺えた。文句なしの“5つ星”だろう。
<MF>
■中島翔哉(ポルト/→ハーフタイムOUT)=★★★★
いつもどおり中島は中島のプレーを貫いた。彼の展開力、ドリブルによる突破力で日本の攻撃のスイッチが入り、最前線の大迫のポストプレーも生きる。パラグアイ戦ではゴールやアシストこそ記録できなかったものの、2得点ともに崩しの部分で絡んでおり改めてその存在の大きさを印象付けた。45分間の出場でシュート2本と、いつもよりミドルを狙う場面は少なかったが、相手のボランチと最終ラインを最も混乱させていたのは、間違いなく中島だった。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。