久保建英と「悲しいデビュー」の要因 マジョルカで高まる期待と早期“融合”の難しさ

メスタージャの風景【写真:高橋智行】
メスタージャの風景【写真:高橋智行】

バレンシア戦の「11分間」に見えた双方の戸惑い

 バレンシア戦の「11分間」を見る限り、久保がチームにフィットしていない最大の要因は、やはり練習時間の短さにあるのだろう。久保がフリーな状態でもチームメートがパスを出さずに他の選択肢を選んでいたのは、お互いの動きをまだ理解できていないからだろう。

 また、マジョルカが開幕から3試合、同じスタメンで戦っていることも久保が上手く生きなかった理由として挙げられるかもしれない。そのような状況のなかで、試合途中からピッチに入るのは容易ではない。新天地デビュー戦であれば、なおさらだ。さらに格上のバレンシアに2点をリードされた厳しい展開のなかで投入されたという、ネガティブな要素もあった。

 試合後のスペイン各紙は一様に、この日の久保のプレーに評価できる部分はほとんど何もなかったと見ているようだ。実際、スペイン紙の「マルカ」は評価なし、「AS」は1点(3点中)をつけ、プレーについては何も触れなかった。

 マジョルカの地元紙「ウルティマ・オラ」は「輝きのない場面でのデビューとなった」と、すでに試合がほぼ決まっているなかでの出場だったことを強調している。

高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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