ジブラルタルで誕生した初の“日本人プロ選手” 経営権取得も目指す30歳、欧州の小国で描く夢

高校卒業後に18歳で日本を飛び出し、スペイン5部相当からスタートしたという【写真:José Luis González Fierros】
高校卒業後に18歳で日本を飛び出し、スペイン5部相当からスタートしたという【写真:José Luis González Fierros】

スペインと陸続きにあるイギリス領の国、サッカーの特徴も「合わせた感じ」

 いざジブラルタルにやってきて、鶴見も初めは驚きの連続だったという。

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「最初に話を聞いた時は『えっ?』という感じでした。ジブラルタルにはスタジアムが一つしかないんです。全試合がそこで行われている。トップチームだけでなく、ユースチームもそこで試合をするので、試合は毎日行われています。リーグ戦ではまだそこまででもないですが、代表戦やCLの試合ともなれば、スタジアムにもたくさんの人が来ます。クラブ間のライバル意識というのはあまりないですね」

 ジブラルタルといえば、“タックス・ヘイブン”(租税回避地)としても知られ、世界の有名企業も本社を置いている。サッカークラブのスポンサーにもなっているオンラインベッティング企業「bwin」の本社もここジブラルタルにある。小さな国のなかに堂々とそびえる巨大な岩山“ザ・ロック”も有名だが、その近くにあるヴィクトリア・スタジアムが国内で唯一のサッカー用スタジアムだ。

 そのため、シーズンが始まればリーグ戦は毎日のように開催されている。同じ会場で1日に2試合行われることもある。練習場も足りないため、各クラブは近隣のスペインなどでグラウンドを借りてトレーニングしている。鶴見もスペインのマルベージャに住んでおり、車で45分かけてジブラルタルまで通っているという。

 そんなジブラルタルのサッカー事情を、改めて整理しておきたい。

 国内リーグは2018-19シーズンまで8チームずつの2部リーグ制だったが、今季からプレミアディビジョンに統合され、16チームで優勝が争われている。優勝クラブにCLの予備予選出場権、リーグ2位と国内カップ戦優勝クラブはEL予選の出場権を手にすることができる。スペインと陸続きにあるイギリス領の国ということもあり、鶴見に言わせるとサッカーも「スペインとイングランドの特徴を合わせた感じ」ということらしい。

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