“勝ち方”を忘れた浦和、16位と“4差” J1「残留争い」とカップ戦「3冠」に挑むジレンマ
終了間際の失点で湘南と1-1ドロー、リーグ戦6試合勝利なし
浦和レッズは2011年以来8年ぶりに、J1リーグ残留争いに本格的に巻き込まれたと言っていいだろう。1日のリーグ第25節、湘南ベルマーレとのアウェーゲームを1-1で引き分けた。順位こそ勝ち点31で11位とはいえ、J2とのプレーオフに回る16位サガン鳥栖との勝ち点差は「4」。残り9試合、予断を許さない状況だ。
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湘南戦の浦和は、前半3分にエースFW興梠慎三のゴールで先制しながら、完全にボール支配を明け渡したラスト15分間で自陣の奥深くに押し込まれ、最終的にPKで同点ゴールを許した。その姿は、リーグ6試合勝利なし(4分2敗)となった“勝ち方”を忘れたチームの姿と言わざるを得ない。敵陣で上手く時間を使うことができなかった戦いは、GK西川周作が「一度、相手を裏返すことが必要だった」という言葉や、途中出場のMF柴戸海の「クリアしたところに味方がいるような共有が必要」という、リードを守り切るチームに求められるものを満たせなかったことが浮き上がる。
8年前のシーズンは、クラブOBのゼリコ・ペトロヴィッチ監督がシーズンのスタートから率いた。劇的な同点ゴールによる引き分けなどで雰囲気が盛り上がった瞬間はあったものの、あくまでも勝ち点1にしかならない試合は最終的に立場を苦しいものにした。その結果、秋も深まった10月20日に当時ユースチームを率いていた堀孝史監督にスイッチし、GMも交代して第33節で残留を決定的なものにした。
今季は、昨季の途中就任から天皇杯制覇に導いたオズワルド・オリヴェイラ監督の指揮の下でスタートした。キャンプでトレーニングマッチを1試合のみとして、フィジカル強化に力を割いた。その弊害はシーズン立ち上がりの試合勘に表れた部分があり、勝ち点が伸びないまま推移。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)ではグループステージを2位通過した一方、リーグ戦では停滞が続き5月末に監督交代。昨季に約3週間の暫定監督を務めた大槻毅監督へとスイッチして今に至っている。
リーグ戦の状況が苦しい一方で、前述のACLとルヴァンカップでは8強、天皇杯では16強に残っている。8年前の残留争い当時も、ルヴァンカップの前身であるヤマザキナビスコカップは決勝に進出していたし、天皇杯も8強へ進んだ。そうしたことが証明するように、タイトルを争うだけのポテンシャルを示していたとしても、リーグ戦で歯車がズレてしまえばこのような事態に陥ることが、J1の難しさを表現しているとは言える。しかし、今季は少し悪い条件が多いのも事実だ。
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